台湾のPC大手ASUSは5月6日、ゲーミングノートPCの新モデル「TUF Gaming 天選 7 Pro Ryzen版」を中国市場に投入した。中国のテクノロジーメディアIT之家が報じた。本モデルは、AMDの最新プロセッサ「Ryzen 9 9955HX」と、NVIDIAの高性能GPU「GeForce RTX 5060」または「RTX 5070(8GB版)」を搭載し、高いゲーミング性能を誇る。

新モデル「天選 7 Pro Ryzen版」の概要

天選」は、ASUSのゲーミングブランド「TUF Gaming」の中国向けシリーズ名であり、コストパフォーマンスに優れたモデルとして知られる。今回発売された「天選 7 Pro Ryzen版」は、16GBのメインメモリと1TBのストレージを標準で備え、最新のゲームや高負荷な作業に対応する性能を持つ。高性能CPUとGPUの組み合わせにより、ユーザーは快適なゲーム体験やクリエイティブ作業が可能となる。

詳細スペックとIntel Core版との比較

このRyzen版の全体的な仕様は、IT之家が以前に紹介したIntel Core版と類似している。システム全体の最大熱設計電力(TPP)は180Wに達し、CPU単体で90W、GPU単体で115Wの消費電力に対応する。バッテリー容量は80Whで、本体重量は約2.25kg、最薄部は17.9mmと、携帯性も考慮されている。ディスプレイは16インチQHD+(2560x1600)解像度で、300Hzのリフレッシュレートに対応したAGLR(アンチグレア低反射)パネルを搭載し、滑らかな映像表現を実現している。I/Oポートに関しては、Intel Core版にあったThunderbolt 4ポートがUSB-C 10Gbpsポートに変更されている点が主な相違点となる。

中国ゲーミングPC市場におけるASUSの戦略

ASUSは中国のゲーミングPC市場において、「TUF Gaming」シリーズを通じて幅広いユーザー層にアプローチしている。今回のRyzen版の投入は、AMDプロセッサの性能向上と市場での存在感の高まりに対応したものであり、Intel Core版との両輪で多様なニーズに応える戦略とみられる。高性能なCPUとGPUを組み合わせた新モデルは、競争が激化する中国ゲーミングPC市場でASUSのシェア維持・拡大に貢献すると期待される。

日本の関連性

ASUSが中国市場に投入した「TUF Gaming 天選 7 Pro Ryzen版」は、日本企業にとって二つの明確な示唆を与える。第一に、AMD製CPUの採用は、中国市場におけるサプライチェーンの多様化リスクを浮き彫りにする。これまでIntelが支配的だった高性能PC市場でRyzen 9 9955HXのようなAMD製CPUが採用されることは、中国政府が推進する国産化政策や特定サプライヤーへの依存度低減策と軌を一にする。日本のPCメーカーや部品供給企業は、中国市場向け製品におけるIntel依存度を見直し、AMDや他の中国系半導体メーカーへの対応戦略を策定する必要がある。

第二に、Intel Core版からThunderbolt 4ポートがUSB-C 10Gbpsポートに変更された点は、中国市場特有の技術標準や規制への適応の重要性を示す。ThunderboltはIntelが主導する技術であり、この変更は、中国市場におけるIntelの影響力低下、あるいは中国独自の技術標準への準拠を優先する動きと解釈できる。日本の電機メーカーは、自社製品が中国市場で展開される際に、国際標準だけでなく、中国独自の技術規格や規制要件に柔軟に対応できる設計・開発体制を構築しなければ、市場競争力を維持できないリスクがある。特に、中国政府が推進する「国産化」や「自主技術」の動きは、今後も様々な分野で日本企業に仕様変更やサプライチェーンの見直しを迫るだろう。