中国の検索大手、バイドゥ(バイドゥ、Baidu)が発表した2026年第1四半期決算は、世界のAI業界が新たな局面に移行したことを示す象徴的な出来事となった。AI関連事業の売上高が初めて事業全体の過半数となる52%に達し、同社の中核的な収益源へと成長した。これはAIが研究開発の「コスト」から具体的な「利益」を生み出すフェーズへ移行したことを意味する。同社はAIの価値を測る新指標「DAA」を提唱し、OpenAIなど米国勢との競争で独自路線を鮮明にしており、日本のITサービス企業の事業モデルにも影響を及ぼす可能性がある。
AI事業が売上構成比52%、収益の柱へ転換
バイドゥが5月18日に発表した2026年第1四半期(1-3月期)決算によると、総売上高は前年同期比3%増の321億元(約6900億円)に達した。市場の注目を集めたのは、その事業構造の劇的な変化だ。AI関連事業の売上高は前年同期比で49%増と急伸し、136億元(約2920億円)を記録。これにより、AI事業が一般事業収入に占める割合は52%に達し、従来の検索・広告事業を上回る最大の収益源となった。
内訳を見ると、AIクラウド事業が同79%増の88億元、AI技術を活用したAIネイティブマーケティング事業が同36%増の23億元と、各分野で力強い成長を示している。この数字は、AIがもはや将来性を語るための先行投資ではなく、企業の屋台骨を支える「中核エンジン」へと完全に変貌を遂げたことを市場に強く印象付けた。
「成果」を問う新指標『DAA』の戦略的意図
今回の決算発表で、バイドゥはAIの価値を測る新たな評価基準として「DAA(Daily Active Agents、デイリー・アクティブ・エージェント)」を提唱した。これは、AI業界の競争軸が、モデルの性能を競う段階から、いかにして収益を上げるかという「収益化」の段階へシフトしていることを明確に示す動きだ。
DAAは、AIエージェントが「どれだけの業務を自律的に完了させたか」という成果(アウトプット)を直接評価する指標である。これは、OpenAIなどが用いる「TPD(Tokens per Day、1日あたりのトークン処理量)」のような、どれだけ計算資源を消費したかというコスト(インプット)を測る指標とは一線を画す。業界アナリストの分析では、これは米国の半導体規制下で高性能チップへのアクセスが制限される中、限られた計算資源の効率を最大化し、「成果」を最大化する以外に活路がない中国企業の戦略的転換と見られている。
性能競争から収益化競争へ、業界の構造変化
世界のAI開発は、2022年から2024年にかけて、より大規模で高性能な基盤モデルを開発する「スケール競争」が中心だった。しかし、巨額の計算コストを要する開発競争が一巡し、現在はその投資をいかに回収するかが業界全体の課題となっている。
実際に、米国のAIスタートアップであるAnthropicは、ユーザー数ではOpenAIに劣るものの、法人向けサービスに特化することで、年換算収益(ARR)で先行するOpenAIに迫る勢いを見せている。これは、単一の高性能モデルを持つことよりも、特定の業務課題を解決するビジネスモデルを構築することの重要性が増していることを示唆する。バイドゥが「DAA」という成果指標を打ち出した背景には、こうした業界全体の構造変化がある。性能の高さを誇るだけでなく、顧客の業務をどれだけ効率化し、具体的な価値を生み出したかを競争の土俵とする狙いだ。
日本にとっての意味
バイドゥのAI事業が売上の52%を占めるという事実は、日本のITサービス企業にとって大きな影響を及ぼす。特に、AIの価値を測る新指標「DAA(Daily Active Agents)」の提唱は、米国のOpenAIなどとの競争で独自路線を鮮明にしており、日本の企業もこれに注目する必要がある。DAAは、AIエージェントがどれだけの業務を自律的に完了させたかという成果を直接評価する指標であり、これはコストを測る指標とは一線を画す。
バイドゥのAIクラウド事業とAI技術を活用したAIネイティブマーケティング事業は、それぞれ79%増と36%増と力強い成長を示しており、これはAIがもはや将来性を語るための先行投資ではなく、企業の屋台骨を支える中核エンジンへと完全に変貌を遂げたことを示している。日本の企業は、これらの成長を参考にし、自社のAI事業を強化する必要がある。
また、バイドゥのDAA指標は、業界の競争軸がモデルの性能を競う段階から収益化の段階へシフトしていることを明確に示しており、日本の企業もこれに応じて自社のAI戦略を転換する必要がある。 Anthropicの例に見られるように、単一の高性能モデルを持つことよりも、特定の業務課題を解決するビジネスモデルを構築することの重要性が増しているため、日本の企業はこれらの機会とリスクを踏まえて、自社のAI事業を強化する必要がある。
💬 この記事へのコメント 0
まだコメントはありません
最初のコメントを投稿してみましょう!⚠️ エラーが発生しました