米大手暗号資産取引所Coinbaseの調査により、ビットコイン総供給量の約3分の1が、将来の量子コンピューターによる攻撃に対して脆弱であることが明らかになった。このリスクを受け、米金融大手Jefferiesの戦略責任者がポートフォリオからビットコインを完全にに削除するなど、市場では警戒感が広がっている。

供給量の3分の1、651万BTCが危険に

Coinbaseの調査によると、ビットコインの総供給量のうち32.7%、枚数にして約651万BTCが量子コンピューターによる解読リスクに晒されている。これは、ビットコインの暗号技術の根幹を揺るがしかねない問題だ。

脆弱性の主な原因は、ビットコインアドレスの再利用にあると指摘されている。脆弱とされるビットコインのうち約70%が、このアドレス再利用に起因するという。一度取引に使用されたアドレスの公開鍵はブロックチェーン上に記録されるため、量子コンピューターが悪用すれば秘密鍵を割り出し、資産を盗むことが理論上可能になる。

量子コンピューターが暗号を破る日

量子コンピューターは、従来のコンピューターとは比較にならないほどの計算能力を持つ。ビットコインをはじめとする多くの暗号資産で採用されている公開鍵暗号方式は、この飛躍的な計算能力の前では無力化する可能性がある。

Jefferiesのグローバル株式戦略責任者であるクリストファー・ウッド氏は、このリスクを重く見て、自身のポートフォリオからビットコインを完全にに削除し、代わりに金を組み入れたと述べた。市場もこの懸念を反映し始めており、ビットコインの価格は年初来、金に対して6.5%下落していると、同氏は指摘した。

日本への影響と示唆

本記事は、日本の金融機関やテクノロジー企業に対し、仮想通貨分野における潜在的リスクと新たなビジネス機会を提示する。まず、Coinbaseの調査が示すように、ビットコイン総供給量の32.7%が量子コンピューター攻撃に脆弱である事実は、日本の金融機関が仮想通貨をポートフォリオに組み入れる際のデューデリジェンスを強化する必要があることを示唆する。Jefferiesのクリストファー・ウッド氏がビットコインを削除し金を組み入れた事例は、リスク回避型の投資戦略が今後主流となる可能性を示しており、日本の機関投資家も同様の対応を検討すべきだ。

次に、量子コンピューターの脅威は、日本の暗号技術開発企業にとって新たなビジネスチャンスとなる。脆弱なビットコインアドレスの再利用が問題視されているように、量子耐性のある暗号技術やブロックチェーン技術の開発は喫緊の課題であり、この分野で技術的優位性を確立できれば、国際市場での競争力を高めることができる。

最後に、ビットコイン価格が金に対して6.5%下落しているという指摘は、仮想通貨市場の不安定性を改めて浮き彫りにしている。日本の個人投資家は、仮想通貨への過度な集中投資を避け、金などの伝統的な安全資産とのバランスを考慮した分散投資戦略を再評価する必要がある。