中国のテクノロジー大手ByteDanceが、AIチャットサービス「豆包 (Doubao)」の有料プラン導入を検討していることが分かった。一方、米アップルは次期iPhoneの価格を拠え置くとの観測が浮上している。AIの収益化と成熟するスマートフォン市場での価格戦略が、中国市場の新たな局面を示している。
ByteDance、AIの高度利用で収益化へ
ByteDanceのAIチャットアプリ「豆包 (Doubao)」が、現在の無料サービスに加え、有料のサブスクリプションプランを導入する準備を進めている。同社関係者によると、有料プランは主にプレゼン資料の自動生成、データ分析、動画制作といった、より多くの計算能力を必要とする高度な機能に焦点を当てるという。日常的なチャット機能などは引き続き無料で提供される見込みだ。
AIモデルの性能向上に伴い、高度で価値の高いタスクへの対応能力が向上したことが背景にある。今回の動きは、中国のAIサービスが無料提供による利用者獲得の段階から、本格的な収益化のフェーズへと移行しつつあることを示している。
アップル、iPhone価格拠え置きでシェア狙う
米アップルは、次期モデル「iPhone 16 Pro」シリーズで積極的な価格戦略を打ち出す可能性がある。アナリストのジェフ・プー氏の最新レポートによると、標準モデルとなる256GB版の価格は現行モデルから拠え置かれる見通しだ。これにより、iPhone 16 Proは8999人民元から、Pro Maxは9999人民元からとなると予測されている。
部品コストの上昇圧力が業界全体に広がる中での価格拠え置きは、Android陣営のハイエンド市場からシェアを奪う狙いがあるとみられる。一方で、大容量モデルについては値上げの可能性も指摘されており、利益を確保しつつ、価格に敏感な層も取り込む戦略がうかがえる。また、同社はSiriのAI機能開発の遅れを巡る株主代表訴訟で、2億5000万ドル (約380億円) を支払うことで和解したことも報じられた。
短編ドラマや小売市場でも新戦略
中国市場では他の分野でも変化が見られる。ByteDance傘下の「Douyin(抖音) (Douyin)」は、短編ドラマアプリ「紅果短劇 (Hongguo Short Drama)」が全面的に有料化するとの噂を否定。ごく一部のコンテンツがVIP限定になるだけで、無料視聴を基本的にとするモデルは変わらないと強調した。
また、手厚い顧客サービスで支持を集めるスーパーマーケット「胖東来 (Pang Dong Lai)」は、河南省鄭州市に新店舗の登記を済ませ、今年10月の開業を目指している。同社の進出は地域経済の活性化への期待を集めている。その一方で、市場調査会社AVCが伝えたところによると、2025年の中国国内におけるカラーテレビの販売台数は2763万台と、過去10年で最低水準に落ち込む見通しで、家電市場の低迷が鮮明になった。
結論:日本への示唆
ByteDanceのAIサービス有料化は、日本企業にとって新たな競争と協力の機会を提示する。特に、プレゼン資料の自動生成やデータ分析、動画制作といった高度なAI機能の有料化は、これらの分野で中国市場への参入を検討する日本企業に、質の高いAIサービスへの需要が存在することを示す。例えば、日本のSaaS企業は、中国のAI技術と連携し、特定分野に特化したソリューションを共同開発することで、新たな市場を開拓できる可能性がある。
一方、Appleが「iPhone 16 Pro」の価格を8999人民元から拠え置く戦略は、中国のスマートフォン市場における価格競争の激化を意味する。これは、部品供給を担う日本の電子部品メーカーにとって、コスト削減圧力の増大、あるいはより付加価値の高い部品へのシフトを加速させる契機となる。また、AppleがSiriのAI機能開発の遅れで2億5000万ドルを支払った和解は、AI技術の競争が法的なリスクを伴うことを示唆しており、日本企業もAI開発における知的財産権や倫理的側面への配慮を一層強化する必要がある。
家電市場では、2025年のカラーテレビ販売台数が2763万台と過去10年で最低水準に落ち込む予測は、日本家電メーカーにとって中国市場における戦略の見直しを迫る。単なる製品販売から、サービスやソリューション提供への転換、あるいは中国の消費者のニーズに合致した新たな価値提案が求められるだろう。