中国とカンボジアは 2024年4月22日、カンボジアの首都プノンペンで初となる外務・国防閣僚協定 (2+2) を開催した。中国の王毅外相と董軍国防相、カンボジアのプラック・ソコン副首相兼外相とティー・セイハ副首相兼国防相が共同で議長を務め、両国関係の強化を確認した。

初の「2+2」で安保協力強化

今回の協定では、二国間の政治・安全保障問題や、国際・地域情勢について踏み込んだ協定が行われ、幅広い分野で合意に達した。新華社通信によると、王毅外相は席上、この枠組みを両国の政治・安全保障協力における「戦略的プラットフォーム」へと発展させ、相互支援と連携を強化する重要な手段と位置づける考えを示した。

両国は今後も2+2の枠組みで、政治・安全保障や経済協力に関する協定を継続する方針だ。中国としては、カンボジアとの関係を深化させることで、南シナ海問題などを念頭にインド太平洋地域での影響力を一層強める狙いがあるとみられる。

2020年の合意から4年越しに実現

この閣僚級協定の枠組みは、両国が2020年に設置することで合意していたものだ。2022年には、中国の習近平国家主席とカンボジアのフン・セン首相(当時)が会談し、早期の開催を促していた経緯があり、今回4年越しに初の会合が実現した形となる。

カンボジアは伝統的に中国との関係が深く、リアム海軍基地の近代化などで中国からの支援を受けている。今回の2+2開催は、両国の「鉄壁の友好関係」を安全保障面でも具体化させる動きとして注目される。

日本への影響と今後の展望

中国・カンボジア初の2+2開催は、日本にとってインド太平洋地域における地政学的リスクの顕在化を意味する。まず、カンボジアが中国の安全保障協力の「戦略的プラットフォーム」と位置付けられたことで、日本のサプライチェーンにおけるリスクが増大する。特に、カンボジアに進出している日系製造業は、中国の影響力強化に伴う物流網の不安定化や、安全保障上の理由による輸出入規制強化の可能性を考慮する必要がある。例えば、自動車部品メーカーなどは、代替調達先の確保や生産拠点の分散を検討すべきだ。

次に、南シナ海問題への中国の関与深化は、日本のシーレーン安全保障に直接的な影響を及ぼす。中国がカンボジアのリアム海軍基地の近代化を支援し、今回の2+2で安全保障協力を強化したことは、中国海軍の活動範囲が拡大し、日本の貿易航路が脅かされる可能性を高める。日本の海運企業は、航路変更の検討や、保険料上昇のリスクを織り込む必要がある。

最後に、中国が2020年の合意から4年越しに2+2を実現させたことは、中国の長期的な外交戦略の着実な実行力を示している。これは、今後も中国がインド太平洋地域で影響力拡大に向けた二国間協定を推進する可能性が高いことを示唆しており、日本政府は、ASEAN諸国との連携強化を通じて、地域全体の安定化に貢献する外交努力を加速させる必要がある。