中国共産党が近く開催する重要会議「第二十期中央委員会第四回全体会議(四中全体会議)」で、新たな成長戦略を打ち出す方針だ。新戦略は科学技術の自立とイノベーションを核心に拠え、経済成長の新たな原動力とすることを目指す。

科学技術を核心とする新戦略

新たな成長戦略は、科学技術分野における「自立・自強」と、イノベーションの成果を産業へ迅速に応用する「一体化」を最重要課題と位置づけている。新華社通信によると、党中央はこれを経済の質の高い発展と社会全体の進歩を促すための鍵と見なしている。

この方針は、7月に開催が見込まれる四中全体会議で正式に決定される見通しだ。米中対立が激化する中、中国は先端技術の内製化を急ぎ、外部環境の変化に左右されない強靭な経済構造の構築を狙う。

「技術的自立」と「産業応用の一体化」

中国のイノベーション戦略は、基礎研究と応用研究の双方を強化し、その成果を速やかに産業革新へつなげることを主軸に拠える。具体的には、半導体や人工知能(AI)、バイオテクノロジーなどの戦略的分野への重点的な資源配分が想定される。

「産業応用の一体化」とは、研究開発部門で生まれた新技術を、製造業やサービス業などの現場で速やかに実用化・商用化する仕組みを指す。これにより、イノベーションのサイクルを加速させ、国際競争で優位に立つことを目指す方針だ。

日本にとっての意味

中国共産党が7月の四中全体会議で決定する見込みの科学技術自立を核心とする新成長戦略は、日本企業に直接的な影響を及ぼす。第一に、中国が半導体やAI、バイオテクノロジーなどの戦略的分野への資源配分を強化することは、これらの分野で中国市場に深くコミットする日本企業にとって、競争環境の激化を意味する。例えば、中国が半導体の内製化を加速させれば、日本の半導体製造装置メーカーや素材メーカーは、これまで享受してきた中国市場での優位性が相対的に低下するリスクに直面する。

第二に、「産業応用の一体化」の推進は、中国国内でのイノベーションサイクルが加速し、特定の技術分野で中国企業が国際競争力を急速に高める可能性を示唆する。これは、例えばバイオテクノロジー分野において、中国企業が独自技術で国際市場に進出し、日本の製薬企業や医療機器メーカーの市場シェアを脅かす事態につながりかねない。

第三に、米中対立を背景とした「自立・自強」路線の強化は、サプライチェーンの再編をさらに促す。中国が重要部品や素材の国産化を進めることで、日本から中国への輸出依存度が高い企業は、新たな市場開拓や生産拠点の多角化を迫られる。特に、中国の技術的自立が成功すれば、これまで中国市場で優位性を保ってきた日本企業は、競争力の源泉を再構築する必要が生じる。