2025年の中国豚肉市場は、構造的な供給過剰と需要の伸び悩みにより、価格低迷が続いている。豚の平均取引価格は1kgあたり13.80元と、2024年の通年平均価格を下回った。価格は年初の1kgあたり約16元から下落基調で推移し、7月以降は再び下落に転じている。

構造的な供給過剰と消費の伸び悩み

市場低迷の主な要因は、構造的な供給過剰と消費の伸び悩みだ。繁殖可能な雌豚の飼育頭数が高水準で推移し、出荷時の豚の体重も増加したため、実際の供給量が市場予測を上回った。一方、需要面では、伝統的な消費シーズンの盛り上がりに欠け、食肉全体に占める豚肉の消費割合も低下した。

大手企業はコスト削減で生き残り図る

こうした厳しい市場環境を受け、2025年の養豚業界では生産効率の向上が急務となった。各社はコスト削減による生き残りを図っている。特に大手企業のコスト削減は著しく、最大手の牧原食品 (Muyuan Foods) は、養殖コストを年初の1kgあたり約13元から、10月には11.3元まで引き下げることに成功した。業界大手の温氏食品集団 (Wens Foodstuff Group) も、2025年1〜11月期の肉豚の平均総飼育コストを1kgあたり12.2〜12.4元に抑制。2026年には平均で11.8元まで削減する見通しだ。

2026年も上半期は供給圧力続く見通し

2026年の見通しについては、上半期は依然として供給過剰の圧力が続く可能性が高いものの、下半期には緩やかな改善が見込まれる。中国農業農村部で養豚産業の動向を分析する王祖力首席専門家は、「これまでの生産能力の削減ペースが遅かった影響で、2026年上半期の豚肉市場の供給は依然として潤沢な状態が続くだろう」と指摘したと、中国メディアは伝えている。

日本の関連性

中国豚肉市場の供給過剰と価格低迷は、日本企業にとって直接的な影響は限定的だが、間接的な機会とリスクを生む。まず、中国の食肉消費における豚肉比率の低下は、日本産牛肉や鶏肉の輸出拡大機会を示唆する。中国の消費者が多様な食肉を求める傾向が強まれば、品質と安全性で優位性を持つ日本産品が選択肢に入りやすくなる。

次に、牧原食品が養殖コストを1kgあたり11.3元まで削減した事実は、中国の農業技術と効率化の進化を示す。これは、飼料や農業機械など関連産業における日本企業の対中輸出競争を激化させる可能性がある。特に飼料分野では、コスト削減圧力が強い中国市場において、高付加価値飼料や効率的な飼育技術を提供する日本企業は、より差別化された製品・サービス戦略が求められる。

最後に、温氏食品集団が2026年に1kgあたり11.8元までコスト削減を見込むことは、中国国内での食肉加工品価格のさらなる下落を招きかねない。これにより、日本から中国への加工食品輸出において、価格競争力が一層重要となる。例えば、日本の豚肉加工品メーカーは、中国市場での価格競争に巻き込まれないよう、高価格帯のニッチ市場開拓や、ブランド力強化による付加価値向上に注力する必要があるだろう。