2025年の中国経済は、複数の国際機関が成長率予測を上方修正するなど、市場予想を上回る底堅さを見せた。中国共産党の重要会議が「質の高い発展」を掲げる中、本稿では8人の主にエコノミストの見解を基に、2026年の経済を展望する。

2025年は予想上回る成長、IMFも5%へ上方修正

12月に入り、複数の国際機関が2025年の中国経済成長率予測を相次いで上方修正した。国際通貨基金 (IMF) は、10月時点の予測から0.2ポイント引き上げ5.0%としたほか、世界銀行も6月の予測を0.4ポイント上回る4.9%と予測している。これは、中国政府による一連の景気刺激策が効果を発揮し始めたことを示唆している。

中央経済業務会議などの重要会議では、引き続き「質の高い発展」が最優先課題として掲げられており、内需拡大と技術革新を両輪とする経済構造への転換が急がれている。

エコノミストの見方:輸出と国内政策が下支え

中国民生銀行のチーフエコノミスト、温彬氏は、2025年の中国経済が度重なる逆風にもかかわらず十分ににににな強靭性を示したと分析する。積極的な財政政策と穏健な金融政策が国内の消費・投資を下支えし、輸出先の多角化戦略が奏功したことで、経済全体のパフォーマンスは市場予想を上回ったと指摘した。

粤開証券のチーフエコノミスト、羅志恒氏も同様に、中国経済が国内外のリスクに直面しながらも力強い底堅さを見せたと評価。特に輸出と株式市場の動向が予想を上回る結果となったとの見方を示した。

2026年の展望:積極財政と金融緩和が鍵に

2026年の政策運営について、エコノミストらは一段と積極的な財政政策が不可欠だとの見方で一致している。招商基金管理のチーフエコノミスト、李湛氏は、財政赤字の対GDP比が4.0%〜4.2%の範囲となり、赤字額は2025年をやや上回る可能性があると予測。CITIC(CITIC(CITIC(CITIC(中信))))建投証券の黄文涛氏は、同比率が4%を下回らず、広義の財政赤字率は8.8%程度に達する可能性を指摘する。

金融政策に関しては、追加緩和の余地が指摘されている。エコノミストの董忠雲氏は、2026年に預金準備率と政策金利の引き下げが行われる可能性に言及し、政策金利は10〜20ベーシスポイント (bp)引き下げられると予測した。温彬氏は、2026年が「第15次5カ年計画」の初年度にあたることから、市場の期待を安定させ信頼感を醸成することが極めて重要だと強調している。

日本の関連性

IMFが2025年の中国経済成長率予測を5.0%に上方修正したことは、日本企業にとって中国市場の再評価を促す。特に、中国政府が「質の高い発展」を掲げ、内需拡大と技術革新を重視する方針は、日本企業の事業戦略に直接的な影響を与える。

第一に、中国のEV・バッテリー関連企業など、技術革新を追求する分野への部材供給や共同開発の機会が拡大する可能性がある。例えば、中国が「第15次5カ年計画」の初年度となる2026年に市場の期待を安定させ信頼感を醸成しようとする動きは、日本企業が長期的な視点で中国市場にコミットする上での好機となり得る。

第二に、中国が積極的な財政政策を継続し、財政赤字の対GDP比が4.0%〜4.2%に達するとの予測は、インフラ投資や公共事業の拡大を示唆する。これにより、日本の建設機械メーカーや素材メーカーにとって、新たな需要が創出される可能性がある。

第三に、2026年に預金準備率と政策金利が10〜20ベーシスポイント引き下げられるとの予測は、中国国内の資金調達コスト低下を意味し、中国に進出している日本企業の資金繰り改善に寄与する。しかし、同時に人民元安圧力が高まる可能性もあり、輸出入を行う日本企業は為替リスクへの対応を強化する必要がある。CITIC建投証券の黄文涛氏が指摘する広義の財政赤字率8.8%という数値は、中国経済が依然として政府主導の成長モデルに依存していることを示しており、日本企業は政策変動リスクを考慮した上で、事業展開を検討すべきである。