2024年の中国の春節(旧正月)連休中の消費が活況を呈した。中国国務院新聞弁公室が2月11日に開いた記者会見で明らかにしたもので、政府主導の消費刺激策が奏功し、オンライン小売売上高は9897億3000万元(約20兆円)に達した。
政府主導の消費刺激策
中国商務省は9つの関連部門と共同で「楽購新春(楽しい新春ショッピング)」と銘打った全国的な消費促進キャンペーンを展開した。商務省の盛秋平副部長によると、このキャンペーンでは「下取り・買い替え促進」「景品付きレシート」「金融支援」という3つの主にな特典が消費者に提供された。
商務省は百貨店やショッピングセンター、アウトレットモールなどの小売企業に対し、十分にな商品在庫の確保や消費者向けのイベント開催を指導。各地で消費券の発行や割引キャンペーンが実施され、総額3億6000万元(約74億円)以上の消費補助金が提供されたとみられる。
オンライン消費が牽引、9897億元規模に
消費拡大を特に牽引したのはオンラインだ。1月に始まった「全国オンライン年越し用品セール」では、EC(電子商取引)プラットフォームや各ブランドが数百件のイベントを開催。商務省のビッグデータによると、セール開始から2月8日までの全国のオンライン小売売上高は9897億3000万元に達した。
インバウンド観光も回復基調にあり、金融機関も主にな小売企業と連携して、消費者向けの特典やサービスを提供するなど、消費活動を後押しした。
新たな消費トレンド
今年の春節消費には4つの特徴が見られた。具体的には、①オンラインとオフラインを組み合わせた体験型消費の拡大、②商品・サービスの質の向上、③伝統文化をテーマにした消費の重視、④都市部と農村部を含む全域での市場連携の強化だ。これらの傾向は、中国の消費構造が新たな段階に入ったことを示している。
日本への影響と今後の展望
中国の春節消費におけるオンライン小売売上高9897億3000万元という数字は、日本企業にとって二つの明確な機会とリスクを提示する。
第一に、政府主導の「下取り・買い替え促進」キャンペーンは、家電や自動車など耐久消費財分野で日本ブランドが再度存在感を示す好機となる。例えば、パナソニックやソニーのような日本企業は、中国の消費者が買い替えを検討する際に、品質やブランド力で優位性を訴求できる。特に、中国政府が総額3億6000万元以上の消費補助金を提供している点は、価格競争力に課題を抱える日本製品にとって追い風となり得る。
第二に、「体験型消費の拡大」と「伝統文化をテーマにした消費の重視」は、日本の観光・サービス産業に新たな需要を創出する。中国の消費者が単なるモノ消費からコト消費へ移行する中で、日本の温泉地や京都のような伝統文化体験は、訪日旅行の動機付けとしてさらに魅力を増すだろう。これは、JTBやHISといった旅行会社だけでなく、地域の宿泊施設や文化体験を提供する事業者にとっても直接的な収益増に繋がる。
しかし、オンライン消費が牽引役となっている事実は、日本企業が中国市場で成功するためのデジタル戦略の重要性を再認識させる。ECプラットフォームでのプロモーションや、中国独自のSNSを活用した情報発信に遅れを取れば、せっかくの商機を逃すリスクがある。例えば、アリババやJD.comといった主要ECサイトでの露出強化は必須であり、単なる出店に留まらない積極的なキャンペーン展開が求められる。