中国で若者の雇用情勢が厳しさを増す中、政府と主に企業が対策を本格化させている。今年に入り、地方政府は大規模な就職説明会を開催し、IT大手のバイドゥや自動車大手のDongfeng(東風汽車)汽車汽車集団などがAI分野を中心に採用枠を大幅に拡大した。

地方・企業主導で採用活動が活発化

各地方で、若者向けの雇用支援が広がっている。安徽省亳州市で開かれた春季の大規模就職説明会には220社が参加し、1万2800件の求人を提供。会場では企業担当者が雇用条件を説明し、多くの求職者が面談に臨んだ。

企業側も積極的な動きを見せている。IT大手のバイドゥ(バイドゥ)は、2024年春季の新卒採用でAI関連職を中心に採用枠を前年比で2倍に拡大した。また、国有自動車大手のDongfeng(東風汽車)汽車汽車集団も新卒採用活動を本格化させ、2600人以上の採用枠を設けている。

中央政府は省庁横断で雇用を下支え

中央政府も省庁を横断した支援策を打ち出している。マクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会は、雇用創出を最優先課題の一つと位置づけ、都市部と農村部の住民の所得向上計画を推進する方針だ。

財政部は、今年の財政政策を通じて雇用、企業活動、市場心理の安定化を強力に支援すると表明。中国中央テレビ (CCTV) によると、人力資源・社会保障部は、AIの普及による雇用構造の変化を見拠え、重点産業における雇用支援策を強化している。

日本への影響

中国政府が若者雇用対策を強化し、バイドゥや東風汽車集団がAI分野を中心に採用を拡大する動きは、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、中国国内でのAI人材獲得競争が激化し、日本企業が中国市場で事業展開する際に、優秀なAIエンジニアやデータサイエンティストの確保がより困難になる可能性がある。特にバイドゥがAI関連職の採用枠を前年比で「2倍」に拡大していることは、中国企業がAI分野への投資を加速させ、人材を囲い込もうとしている明確な兆候だ。

第二に、中国政府が雇用創出を最優先課題とし、特にAI普及による雇用構造変化に対応しようとしている点は、日本企業が中国市場で新たなビジネス機会を見出す上で重要である。例えば、AI技術を活用した産業DX(デジタルトランスフォーメーション)や、AI教育関連サービスなど、中国政府が支援する重点産業分野での協業やサービス提供の余地が生まれる可能性がある。安徽省亳州市での大規模就職説明会に「220社」が参加し、「1万2800件」の求人を提供したように、地方政府レベルでの雇用創出ニーズは高く、日本企業が持つ技術やノウハウを提供することで、新たな市場を開拓できる機会も考えられる。ただし、その際には中国の雇用政策や人材育成の方向性を深く理解し、それに合致した戦略を立てる必要がある。