1月17日以降、中国の広範囲が強い寒波に見舞われ、低温や降雪、凍結が発生した。これにより、冬季のエネルギー供給は最も逼迫する時期を迎えている。こうした中、中国の国営石油最大手、中国石油(ペトロチャイナ)天然気集団(ペトロチャイナ)は、石油・天然ガスの生産から貯蔵、販売に至るまで、サプライチェーン全体で安定供給に全力を挙げている。

ペトロチャイナは1月20日、天然ガスの安定供給に関する幹部会議を開催。同社の周心懐社長は、中央経済業務会議の方針や政府の要求を断固として実行し、冬季の供給体制を再点検・最適化することで、民生用エネルギーの最低ラインを確保すると強調した。

主にガス田で過去最高水準の増産

ペトロチャイナ傘下の各生産拠点は、安定生産と増産を供給の柱と位置付けている。「西気東輸(西部ガス東送)プロジェクト」の主に供給源であるタリム油田は増産体制を強化し、1日あたりの天然ガス供給量は9200万立方メートルを超えた。また、長慶油田の1日あたりの平均ガス生産量も1億7100万立方メートルで安定しており、両油田合計で日量2億6000万立方メートルを超えるガスを供給している。

異常気象を受け、各油田の現場では巡回点検の頻度を増やし、パイプラインや設備の凍結防止を徹底。新疆地区南部の家庭へも、パイプラインを通じて毎日400万立方メートル以上のガスを安定供給していると、新華社通信は伝えている。

地熱などクリーンエネルギーも活用

ペトロチャイナは、天然ガスに加えて多様なクリーン暖房システムの構築も進めている。河北省の冀東油田では地熱暖房施設群の整備が進んでおり、同省唐山市曹妃甸新城にある国内最大級の中深度地熱暖房プロジェクトは、7シーズンにわたり安定稼働している。

天津市の大港油田では、新エネルギー事業部門が寒波到来前にパイプライン網と関連施設を全面点検。暖房システムを24時間体制で監視するとともに、利用者からの問い合わせに即時対応できるよう、24時間対応のホットラインを開設し、万全の体制を敷いている。

日本市場への影響

中国の国営石油大手ペトロチャイナによる天然ガス増産は、日本にとって複数の機会とリスクを提示する。まず、同社がタリム油田と長慶油田で合計日量2億6000万立方メートルを超えるガスを供給している事実は、中国国内のエネルギー需要が旺盛であることを示唆する。これは、液化天然ガス(LNG)市場における中国の購買力が引き続き高く、国際的なLNG価格に上昇圧力をかけ続ける可能性を意味する。日本は世界有数のLNG輸入国であり、調達コストの上昇は電力会社や製造業の経営を圧迫し、ひいては国民生活にも影響を及ぼす可能性がある。

一方で、ペトロチャイナが河北省の冀東油田で地熱暖房施設群を整備するなど、クリーンエネルギー開発を加速させている点は、日本企業にとって新たなビジネスチャンスを生む。日本の地熱発電技術や関連インフラ建設ノウハウは世界的に評価されており、中国のクリーンエネルギーシフトの動きに連携することで、技術供与や共同プロジェクトの機会が生まれる可能性がある。特に、中国が「西気東輸プロジェクト」のような大規模インフラ整備を推進する中で、日本の高度なパイプライン技術やメンテナンス技術への需要が高まることも期待される。

しかし、新疆地区における天然ガス供給の安定化が報じられている点は、サプライチェーンにおける人権問題への配慮を求める日本企業にとって複雑な課題を提起する。同地域での事業活動には、国際的な人権基準への適合性が厳しく問われるため、日本企業は中国市場での事業展開において、経済合理性だけでなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からのリスク評価をより一層強化する必要がある。