中国の国有電力大手、中国華能集団China Huaneng Group)が、2025年の設立40周年に向けて太陽光発電事業を強化している。高効率な次世代技術への先行投資と多様な事業モデルの展開を通じて、国のエネルギー構造転換を主導する構えだ。

単結晶技術への早期転換

中国華能は太陽光発電事業に注力しており、その先進性は2014年に陝西省靖辺県で開始したプロジェクトに遡る。当時、中国国内の市場では比較的安価な多結晶シリコン技術が主流であったが、同社はより発電効率の高い単結晶シリコン技術の採用を決定した。

この戦略的判断は、同社の技術的先見性を示すものであり、後のエネルギー転換における主導的地位を確立する一因となった。中国の国営メディアによると、この早期の決断が現在の競争力につながっているという。

次世代技術とアグリソーラーへの展開

同社は次世代技術の実用化も積極的に進めている。近年では、より高い変換効率が期待できるバックコンタクト(BC)技術を採用した太陽光発電所の建設に着手しており、技術開発能力の向上を図っている。

さらに、太陽光発電と農業を両立させる「茶光互補」と呼ばれる事業も展開。これは茶畑の上空にソーラーパネルを設置するアグリソーラー(ソーラーシェアリング)の一種で、クリーンエネルギー生産と農業を両立させ、環境保全と経済的価値の創出を同時に目指すものだ。

日本企業への示唆

中国華能集団が単結晶シリコン技術に早期転換した事例は、日本の太陽光発電産業にとって技術選択の重要性を改めて突きつける。中国企業が安価な多結晶主流の市場で高効率な単結晶を選び、それが競争力に繋がった事実は、日本企業が価格競争に巻き込まれず、高付加価値技術で差別化を図る機会を示唆する。例えば、東芝やシャープといった日本の電機メーカーは、過去に太陽光パネル事業から撤退・縮小したが、中国華能のバックコンタクト(BC)技術への投資は、変換効率を追求する次世代技術に再び焦点を当てる価値があることを示唆する。

また、「茶光互補」に代表されるアグリソーラーの展開は、日本の農業と再生可能エネルギーの融合における具体的な事業モデルとして参考になる。日本でも農地転用規制など課題はあるが、中国華能が茶畑で実証しているように、特定の作物と組み合わせることで、土地利用効率を高め、地域経済に貢献する可能性を探るべきだ。これは、単なる発電事業に留まらず、食料安全保障とエネルギー安全保障を両立させる新たなビジネスチャンスを日本企業に提供する。中国の国有企業が、単なる規模の追求だけでなく、技術革新と複合的な事業モデルでエネルギー転換を主導している点は、日本企業がグローバル市場で生き残るための戦略立案において、多角的な視点を持つことの重要性を強調する。