中国政府は、工業情報化部など5部門が共同で「ゼロカーボン工場」の建設ガイドラインを発表したと明らかにした。エネルギー構造の転換を加速させると同時にに、超長期特別国債などを活用して安定供給能力の確保も図る。政策主導と企業の取り組みが一体となり、エネルギー分野の変革が進んでいる。

5部門が「ゼロカーボン工場」指針を共同発表

工業情報化部など5部門が共同で公表した「ゼロカーボン工場建設業務の推進に関するガイドライン」は、産業分野における脱炭素化の道筋を示すものだ。政策的な後押しに加え、超長期特別国債の発行による資金が企業の設備更新を支援し、エネルギー構造の転換を促している。

電力・ガス供給量、過去最高を更新

エネルギー需要も堅調に推移している。業界全体の電力使用量とガス供給量は過去最高水準を更新しており、経済活動の安定成長を支えている。地方レベルでは、河南省、山西省、吉林省などで電力需給の均衡が保たれており、エネルギー供給網の強靭化が進んでいることを示している。

国有エネルギー大手が供給を主導

企業の現場でも供給能力の増強が続く。国有石油大手の中国石化(シノペック)(シノペック)は、1日あたりのガス供給量が2.2億立方メートルに達した。また、パイプラインを管理する国家石油天然ガスパイプライン網集団(PipeChina)は、主にパイプライン網を通じて1日あたり11億立方メートルのガスを供給している。中国南方電網の管轄地域では、2025年までに社会全体の年間電力消費量が1兆7994億kWhに達し、初めて1.7兆kWhを突破する見通しだ。

日本市場への影響

中国が「ゼロカーボン工場」建設ガイドラインを発表し、超長期特別国債で設備更新を支援する動きは、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、中国市場における環境規制強化と脱炭素化投資の加速は、日本の環境技術・省エネ設備メーカーに新たなビジネス機会を提供する。特に、シノペックが1日あたり2.2億立方メートルのガス供給量を達成するなど、国有エネルギー大手が供給能力を増強する中で、効率的なエネルギー利用技術や再生可能エネルギー関連技術への需要が高まる。日本企業は、これらの技術を中国の「ゼロカーボン工場」構想に適合させることで、市場シェア拡大のチャンスを掴める。

第二に、中国国内のエネルギー供給安定化は、日本企業が中国で事業を展開する上でのリスク要因を軽減する。PipeChinaが1日あたり11億立方メートルのガスを供給するなど、エネルギー供給網の強靭化が進むことは、日本企業の現地工場における電力・ガス供給不安を和らげる。しかし、これは同時に、中国国内企業の競争力向上にも繋がり、特にエネルギー多消費型産業においては、日本企業の生産コスト競争力維持が課題となる。日本企業は、中国の政策動向を注視し、サプライチェーンの再構築や高付加価値製品へのシフトを通じて、競争優位性を確保する必要がある。