中国の浙江省が、経済成長と環境保護の両立を目指し、産業構造の転換を加速させている。海洋潮流発電といった新技術の導入や港湾の電化を進める一方、伝統的な高エネルギー消費産業からの脱却を図っている。

海洋潮流発電など新技術を導入

浙江省では、再生可能エネルギーの導入が積極的に進められている。舟山市では、舟山LHD海洋潮流発電所が稼働しており、海底に設置したタービンで潮の満ち引きを利用して発電する。また、湖州市では、伝統産業の技術革新を通じてエネルギー効率を高め、環境負荷の低い産業構造への転換を推進している。

寧波舟山港、電化と水素化を推進

世界最大級の貨物取扱量を誇る寧波舟山港では、港湾全体の「グリーン化」が主にな課題だ。接岸中のコンテナ船に陸上から電力を供給するシステムを拡充し、船舶の補助エンジン稼働による排出ガスを削減。さらに、港湾内でコンテナを輸送する車両として、水素燃料電池を搭載したターミナルトラクターの導入も開始し、脱炭素化に向けた取り組みを強化していると新華社通信は伝えている。

化学工業から新エネルギー産業へ転換

省内各地で、旧来の産業構造からの転換が進む。紹興市上虞区では、環境負荷の大きかった化学工業団地を整理・縮小し、より付加価値の高い新産業の育成に注力。かつて鉛蓄電池産業が中心だった湖州市長興県は、リチウムイオン電池をはじめとする新エネルギー産業への大規模な転換を成功させ、国内有数の車載電池の生産拠点となっている。

日本市場への影響

浙江省の産業転換は、日本企業にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、寧波舟山港における陸上電力供給システム拡充や水素燃料電池搭載ターミナルトラクター導入は、港湾関連機器や技術を提供する日本企業に新たな市場機会を生む。特に、船舶の補助エンジン代替技術や水素関連インフラ整備において、日本の高い技術力が評価される可能性がある。

次に、湖州市長興県がリチウムイオン電池を中核とする新エネルギー産業拠点へ転換したことは、日本の電池材料メーカーや製造装置メーカーに直接的なビジネスチャンスをもたらす。中国市場での競争激化は避けられないが、高品質な部材や精密な製造技術を持つ日本企業にとっては、サプライチェーンへの組み込みや共同開発の機会が拡大する。

一方で、紹興市上虞区での化学工業団地整理・縮小は、同地域に進出していた日系化学企業に対し、事業再編や撤退を迫るリスクを提示する。浙江省が環境規制を強化し、高エネルギー消費産業からの脱却を加速させる方針は明確であり、日本企業は現地の環境政策動向を綿密に分析し、事業ポートフォリオの見直しを迫られる。これは、単なるコスト増ではなく、サプライチェーン全体での環境負荷低減要求として、日本国内の親会社にも影響を及ぼす可能性がある。