中国メディアの報道によると、中国雲南省における2023年の越境人民元決済額が、前年比13%増の1001.79億元(約2.2兆円)に達した。中国が推進する「一帯一路」構想を背景に、東南アジア諸国との経済連携が人民元の国際的な利用を後押ししている。
「一帯一路」沿線国との連携が牽引
雲南省は「一帯一路」構想の沿線国との間で、越境人民元決済を拡大している。2023年の越境人民元決済総額のうち、80%がこれらの国々との決済によるものだった。特に、ミャンマー、ラオス、タイとの決済額は、それぞれ前年比で8%、14%、42%と大幅に増加した。
鉱物資源や農産物でも決済拡大
主に分野における人民元決済も著しく伸長した。省全体の鉱物資源や大豆の越境人民元決済額は、それぞれ前年比で14%、120%と急増。さらに、コーヒー、花卉(かき)、果物、野菜といった特色ある地場産業においても、企業の輸出入における人民元決済が拡大傾向にある。
辺境貿易の電子化と金融サービス拡充
国境付近の住民による辺境貿易でも人民元決済が増加している。雲南省の「辺民互市」(辺境住民の相互市場)では、電子取引のカバー率と人民元決済の割合がともに90%を超えた。越境決済プラットフォーム「跨境通」や辺境貿易オンラインバンキング「辺貿網銀」といった独自の金融サービスも継続的に改善されている。2023年、辺境貿易における越境人民元決済額は、貿易総額の15%を占めた。
現在、雲南省の金融機関は、周辺国の同業機関との協力を深め、貿易や投資における人民元の利用をさらに促進している。
日本市場への影響
雲南省における越境人民元決済の急増は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、ミャンマーやラオス、タイといった東南アジア諸国との間で、人民元建て取引の選択肢が実質的に拡大している点である。特に、鉱物資源や大豆、コーヒーといった品目における人民元決済の伸長は、これらの分野でサプライチェーンを持つ日本企業が、決済通貨の多様化を迫られる可能性を示唆する。例えば、タイの自動車部品メーカーが中国から原材料を調達する際、人民元建て決済が主流となれば、為替リスク管理の新たな課題が生じる。
第二に、越境決済プラットフォーム「跨境通」や辺境貿易オンラインバンキング「辺貿網銀」といった中国独自の金融インフラの普及は、日本企業が東南アジア市場で事業展開する上での決済手段の選択肢を狭めるリスクを内包する。これらのプラットフォームが標準化されることで、円やドル建て決済の利便性が相対的に低下し、中国の金融システムへの依存度が高まる可能性がある。特に、雲南省と隣接する地域での小規模貿易やサービス提供を行う日本企業は、これらの中国系決済システムへの対応を検討する必要がある。2023年に辺境貿易における越境人民元決済額が貿易総額の15%を占めた事実は、この流れが既に一定の規模に達していることを示している。