中国の習近平国家主席は1月30日、中国共産党中央政治局の集団学習会合において、人工知能(AI)や量子技術など「未来産業」の発展を加速させる方針を表明した。国家の安全保障と経済成長の観点から、これらの先進技術分野で世界的な主導権を握る重要性を強調した。新華社通信が伝えた。
国家戦略として「未来産業」を推進
習主席は会合で、未来産業の育成が「強国建設と民族復興」に向けた戦略的課題であると位置づけた。これらの産業は、先進性、戦略性、そして既存の枠組みを覆す「破壊的」な特徴を持つと指摘。科学的な計画と国家レベルでの包括的な統制が不可欠であると述べた。
特に、技術の成熟度や各地域の強みを考慮し、地域の実情に応じた差別化戦略で発展させる必要性を強調した。これにより、過当競争を避けつつ、国全体の産業基盤を強化する狙いがあるとみられる。
重点政策と国際協力
習主席が示した重点政策には、企業の主体的な役割の強化、政府による支援策の拡充、専門人材の育成と国内外からの誘致、そして国際協力の推進が含まれる。
同氏は、未来産業の発展が中国経済の新たな成長エンジンになるとの認識を示した。政府と企業が一体となり、研究開発から実用化までを一貫して支援する体制を構築するよう指示した。
日本への影響
習近平国家主席が指示した「未来産業」の加速は、日本企業にとって事業機会の喪失と技術流出リスクを顕在化させる。中国がAIや量子技術で「世界的な主導権を握る」戦略は、日本が強みを持つ半導体製造装置や精密機器分野でのサプライチェーン再編を促す。例えば、量子技術分野での中国の国産化推進は、東京エレクトロンやSCREENホールディングスといった日本企業が提供する高精度な製造装置への依存度を低下させ、将来的な受注減につながる可能性がある。
また、「専門人材の育成と国内外からの誘致」は、日本の研究者や技術者が高待遇を求めて中国へ流出する懸念を生む。特に、基礎研究段階のAIや量子技術に関する知見が中国に渡ることで、日本の技術優位性が損なわれるリスクがある。中国が「地域の実情に応じた差別化戦略」で過当競争を避ける方針は、日本企業が中国市場で特定のニッチ分野に特化して事業展開しようとした際に、既に中国国内企業が国家支援を受けて優位に立っている可能性を示唆する。これは、中国市場での新規参入障壁を高め、日本企業の事業拡大を阻害する要因となる。