JD.com (JD.com(京東)) やbilibiliなど中国の主にIT企業が、年末年始商戦に向けた大規模なセールを一斉に開始した。動画配信サービスやECプラットフォームの会員サービスが主な対象で、期間は2025年2月15日まで。中国国内の個人消費を喚起する狙いがある。
EC・動画配信サービスが軒並み割引
EC最大手のJD.comは、誰でも利用可能なクーポンを最大2万6999元 (約56万円) 配布するキャンペーンを実施。動画共有サイトのbilibiliは、プレミアム会員の年会費を通常価格233元 (約4900円) から108元 (約2300円) へと半額以下に引き下げている。
同様に、大手動画配信サービスのiQIYI (愛奇芸) も、プラチナ会員の年会費を通常594元 (約1万2500円) から230元 (約4800円) に大幅割引する。一連のセールは、新規顧客の獲得と既存顧客の定着を目的としている。
音楽・ストレージアプリも連携プランを提供
セールは単独のサービスにとどまらない。NetEase (NetEase(網易)) の音楽ストリーミングアプリ内では、JD.comの有料会員「PLUS会員」との共同年会費プランを128元 (約2700円) で購入できる。購入手続きの際には、NetEaseアプリに登録した携帯電話番号の入力が必要となる。
このほか、ファイル転送サービス「迅雷 (Xunlei)」や、Alibaba傘下の検索・クラウドストレージアプリ「Quark (夸克)」なども、それぞれの有料会員向け年会費を大幅に割り引いていると、中国の複数の技術系メディアが報じている。
日本への影響と示唆
中国IT大手の年末年始セールは、日本企業にとって二つの明確な影響と示唆をもたらす。第一に、中国市場におけるデジタル消費の低価格化競争が激化している点だ。JD.comが最大2万6999元(約56万円)のクーポンを配布し、bilibiliがプレミアム会員年会費を半額以下に、iQIYIがプラチナ会員年会費を230元(約4800円)に引き下げる動きは、消費者の価格感応度が極めて高いことを示唆している。これは、日本企業が中国市場でデジタルサービスを展開する際、高価格帯戦略の限界と、収益性を確保しつつ競争力のある価格設定の必要性を突きつける。
第二に、NetEaseとJD.comが共同年会費プランを提供するように、プラットフォーム間の連携強化が新たな顧客獲得・囲い込みの主流になりつつある点である。単一サービスでの顧客獲得には限界があり、異なるサービスを組み合わせることで顧客の利便性を高め、LTV(顧客生涯価値)を最大化する戦略が鮮明だ。日本企業が中国市場でデジタルサービスを展開する場合、自社単独での事業展開だけでなく、現地有力プラットフォームとの提携や共同サービス開発を積極的に検討する必要がある。特に、Alibaba傘下のQuarkのような多様なサービスを提供する企業との連携は、新たなビジネス機会創出の鍵となるだろう。