中国の国会にかなりする第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が北京の人民大会堂で閉幕した。会期中、政府活動報告や2026年から始まる第15次5カ年計画の基本的に方針が採択され、今後の経済・社会政策の方向性が示された。

政府活動報告と経済目標を承認

会議では、李強首相が行った政府活動報告が承認された。新華社通信によると、報告は第14次5カ年計画(2021〜2025年)期間中の経済・社会発展の成果を高く評価。同時に、2026年の政策方針として「質の高い発展」を堅持し、科学技術の自立自強を加速させる方針が確認された。

習近平国家主席ら最高指導部が出席する中、全体会議一致で報告は採択され、国務院の過去1年間の活動を正式に評価した形だ。これにより、現指導部が推し進める経済政策の継続性が担保された。

新5カ年計画と3つの新法が成立

今回の全人代では、2026年から始まる「第15次5カ年計画」の基本的に方針も承認された。経済発展の原動力を国内需要と技術革新に置く「双循環」戦略を深化させ、内需主導の持続的な成長を目指す。

また、新たに「生態環境法典」「民族団結進歩促進法」「国家発展計画法」の3法が可決・成立した。これらの法律は2026年8月15日から施行される。特に環境保護や国家主導の発展計画に関する法整備を強化し、統制を強める姿勢が鮮明になった。

まとめ:日本への示唆

今回の全人代で採択された第15次5カ年計画の「双循環」戦略深化は、日本企業にとって事業戦略の再考を迫る。特に、内需主導への転換は、これまで中国市場を輸出先と捉えてきた日本の中小企業に大きな打撃を与える可能性がある。例えば、中国向けに自動車部品を供給してきた企業は、現地生産・現地調達を強化する中国メーカーの動向に合わせ、サプライチェーンの再編を迫られるだろう。

また、2026年8月15日に施行される「生態環境法典」は、中国に進出する日本企業に新たな環境規制コストを発生させる。環境負荷の高い製造業、特に化学品や素材を扱う企業は、生産プロセスの見直しや新たな設備投資が必要となる。例えば、ダイキン工業のような環境技術に強みを持つ企業は、中国市場でのビジネスチャンスを拡大できる一方、既存の工場を持つ企業は、法規制遵守のための追加投資を迫られる。

さらに、「国家発展計画法」の成立は、中国政府による産業政策への介入が強まることを示唆する。日本企業は、中国政府が推進する特定の産業分野(例:EV、半導体)への投資を強化する一方で、そうでない分野では事業展開が困難になるリスクに直面する。これは、例えばソニーのような多角的な事業を展開する企業にとって、中国市場でのポートフォリオ戦略の再構築を促す要因となる。