中国で豚肉価格の低迷が続いている。2025年の春節(旧正月)以降、供給過剰と需要の伸び悩みが重なり、養豚業者の経営を圧迫する事態となっている。
中国農業農村部のデータによると、4月9日時点の全国農産品卸売市場における豚肉の平均価格は、1kgあたり14.81元(約310円)にとどまった。
供給過剰と需要減が主因
価格低迷の主な要因は、供給過剰と需要の減少だ。2024年を通じて繁殖可能な雌豚の飼育頭数が高水準で推移した結果、2025年に入り市場への豚肉供給量が増加した。一方で、景気の先行き不透明感などから消費者の節約志向が強まり、豚肉消費は伸び悩んでいる。
上海鋼聯(Mysteel)農産品事業部で豚肉市場を分析する孫志磊アナリストは、「現在の価格は供給過剰と需要減少の二重の影響を受けている」と指摘する。
専門家は中期的な価格低迷を指摘
専門家は、価格の本格的な回復には時間がかかると見ている。中国農業科学院北京畜牧獣医研究所の朱増勇研究員は、新華社通信の取材に対し「高水準の供給と中期的な需要の落ち込みが価格を押し下げている」との見方を示した。
この価格水準では多くの養豚業者が採算割れに陥っている。一部報道によると、生きた豚1頭あたりの損失額は約1000元(約2万1000円)に達するとされ、業界の苦境が鮮明になっている。
日本への影響と示唆
中国の豚肉価格低迷は、日本企業に対し複数の具体的な影響を及ぼす。まず、中国市場で食品加工品を展開する日本企業、特に豚肉を原材料とする企業は、現地調達コストの変動リスクを再評価する必要がある。例えば、1kgあたり14.81元にまで下落した豚肉価格は、短期的には調達コストを抑制するが、中国養豚業者の経営悪化が長期化すれば、サプライチェーンの安定性に影響を及ぼす可能性がある。
次に、中国の景気減速と消費者の節約志向は、日本からの農産物輸出にも影響を及ぼす。中国の消費者が豚肉消費を控えるだけでなく、他の食料品に対しても購買意欲を減退させる可能性があり、日本産牛肉や水産物などの高級食材の輸出戦略を見直す必要がある。特に、春節のような需要期に合わせた販売戦略は、Mysteelの孫志磊アナリストが指摘するような「供給過剰と需要減少の二重の影響」を考慮し、より慎重な計画が求められる。
最後に、中国の養豚業者が生きた豚1頭あたり約1000元の損失を被る状況は、中国国内の食料安全保障政策に影響を与え、将来的には輸入規制の強化や自給率向上への動きを加速させる可能性がある。これは、日本から中国への飼料や畜産関連技術の輸出機会に影響を及ぼすため、関連企業は中国政府の農業政策の動向を注視し、事業戦略の柔軟な転換を検討すべきである。