中国国家エネルギー局(NEA)は、2024年第1四半期時点で、国内の再生可能エネルギーの累計設備容量が約24億kWに達し、全電源構成の6割を突破したと発表した。太陽光と風力の合計容量は約19億kWに及び、総設備容量の約47.9%を占める。これは、中国の電力システムが石炭火力中心からクリーンエネルギー主導へと大きく転換していることを示している。
新規導入の7割が再生可能エネルギー、太陽光が急増
2024年第1四半期に中国全土で新たに稼働した発電設備は計8,418万kWで、そのうち再生可能エネルギーが5,893万kWと約7割を占めた。NEA新エネルギー・再生可能エネルギー局の潘慧敏副局長が明らかにした。
内訳は、太陽光発電が4,119万kWと大半を占め、風力発電が1,577万kW、水力・バイオマス・太陽熱発電が合計で約200万kWだった。3月末時点の再生可能エネルギーの累計設備容量は、前年同期比で22%増加。特に太陽光発電の累計容量は12億kWを超え、電力供給の主にな柱となりつつある。
発電量、サービス・家庭用需要を上回る
設備容量の拡大に伴い、発電量も着実に増加している。第1四半期の再生可能エネルギーによる発電量は8,829億kWhに達し、中国の総発電量の約37.1%を占めた。
この発電量は、同期間の中国全土における第三次産業(サービス業)と家庭用の電力消費量の合計(8,818億kWh)を上回る規模だ。理論上、サービス経済と市民生活に必要な電力は、すべて再生可能エネルギーで供給可能な段階に到達した。
送電網の安定化と石炭火力の役割転換が課題
24億kWという膨大な変動電源を安定的に運用するため、中国は現在、超高圧送電(UHV)網の整備と、長周期蓄電池や揚水発電といった大規模な蓄電システムの建設を急ピッチで進めている。
これに伴い、従来主電源であった石炭火力発電所は、再生可能エネルギーの出力変動を補完するバックアップ電源としての役割へと移行しつつある。
日本企業への示唆
中国の再生可能エネルギー設備容量が24億kWに達し、総発電量の37.1%を占める現状は、日本企業にとって事業環境の変革を迫る。第一に、太陽光発電が4,119万kWと新規導入の大部分を占める事実は、日本の太陽光関連産業に新たな競争圧力を生む。中国の低価格モジュールが国際市場を席巻する中、日本のメーカーは高効率化や特殊用途に特化するなど、差別化戦略の再構築が急務となる。
第二に、中国が超高圧送電(UHV)網や大規模蓄電システムを急ピッチで整備している点は、日本の電力インフラ関連企業に商機をもたらす可能性がある。中国の電力システムが石炭火力からクリーンエネルギー主導へと転換する過程で、安定供給を確保するための技術やノウハウへの需要は高まる。例えば、電力系統安定化技術や、日本が得意とする高機能蓄電池の輸出機会を探るべきだ。
第三に、サービス業と家庭用の電力消費量8,818億kWhを再生可能エネルギー発電量8,829億kWhが上回った事実は、中国国内の電力需給構造が大きく変化していることを示唆する。これにより、中国国内の産業構造も再エネを前提としたものへとシフトする可能性が高い。日本企業は、中国市場向けに再エネを前提とした製品やサービス(例:EV充電インフラ、省エネ家電)の開発を加速し、新たな需要を取り込む戦略が不可欠となる。