2024年の春節(旧正月)の大型連休期間中、中国の多くの企業が生産を継続し、国内の旺盛な需要への対応とサプライチェーンの維持に努めた。天津市では重点工業企業の操業再開率が86.3%に達し、寧波市や洛陽市でも合計540社を超える企業が稼働を続けた。

主に都市で生産体制を維持

各地で生産継続の動きが広がった。浙江省寧波市では260社以上の企業が、河南省洛陽市では280社以上の一定規模以上の工業企業が連続生産を実施した。天津市では約90の重点工業企業が連休中も操業を続け、2月24日までに市内の重点工業企業全体の操業再開率が86.3%に達する見込みだ。

自動化と人員配置で需要に対応

各企業は、需要に応えるため工夫を凝らしている。食品大手の四川周黒鴨食品有限公司では、自動化設備を駆使して生産を効率化し、24時間体制での連続生産を実現した。東北製薬では、10以上の生産ラインが通常通り稼働し、1000人を超える従業員が交代で勤務にあたった。また、電力インフラを担う国家電網では、18万9000人の従業員が電力の保守・運用業務の最前線で安定供給を支えた。

政府主導で安全対策を強化

生産継続と並行して、安全対策も強化されている。広西太陽紙業有限公司では、危険物区域などの重点エリアを網羅的に点検し、従業員への安全教育訓練を実施した。新華社通信によると、国務院安全生産委員会は各地方政府や関連部門、中央企業に対し、春節前後の安全生産業務を徹底するよう通達し、重大な事故リスクの防止を強く求めた。

まとめ:日本への示唆

中国が春節連休中に生産を継続したことは、日本企業にとってサプライチェーン強靭化の新たな課題を提示する。天津市で重点工業企業の操業再開率が86.3%に達したように、中国は連休中も国内供給網の維持に注力しており、これは日本企業が中国に依存する部品や素材の供給安定性向上に寄与する。例えば、自動車産業や電子部品産業は、中国からの供給が滞れば生産に直結するため、今回の動きは短期的なリスク軽減要因となる。

一方で、中国政府主導による生産継続は、有事の際のサプライチェーン分断リスクを再認識させる。平時における中国の生産能力維持は、日本企業の過度な中国依存を助長する可能性があり、地政学的リスクが高まる中で、代替供給先の確保や国内回帰といった「デリスキング」戦略の重要性が増す。特に、東北製薬のように1000人を超える従業員が交代勤務で生産を維持する体制は、政府の強力な統制下で経済活動が継続される中国特有の強みであり、日本企業が同様の事態に直面した場合の対応力との差を浮き彫りにする。

また、四川周黒鴨食品有限公司のような自動化設備による24時間連続生産は、中国製造業のデジタル化・自動化の進展を示唆しており、日本企業が中国市場で競争力を維持するためには、生産効率化への投資や技術革新を加速させる必要性を突きつける。これは、単なるコスト競争から技術競争へのシフトを意味し、日本企業は高付加価値製品への転換を急ぐべきである。