中国のIT大手テンセントとAlibabaグループが、春節(旧正月)商戦に合わせて大規模な「紅包(ホンバオ)」キャンペーンを展開している。テンセントは2024年にリリースした新しいSNSアプリで、Alibaba傘下のAlipayは決済機能の利用を促し、それぞれがユーザー獲得競争を激化させている。
テンセント、新SNS「元宝」で利用促進
テンセントは、新SNSアプリ「元宝(Yuanbao)」のユーザー基盤拡大を狙う。ユーザーはアプリ内のコミュニティ機能で他の利用者と交流したり、動画や音楽のコンテンツ共有機能を利用したりすることで、抽選で「紅包」を獲得できる。紅包は中国版のデジタルお年玉で、受け取った電子マネーは決済などに利用可能だ。
この施策は、新アプリの利用を活性化させ、ユーザーエンゲージメントを高めることを目的としている。テンセントはこれまでも、メッセージングアプリ「WeChat」で紅包機能を提供し、モバイル決済の普及を牽引してきた経緯がある。
Alipay、タッチ決済で特典を提供
一方、Alibabaグループの決済サービスAlipay(アリペイ)も、独自の紅包キャンペーンを実施する。2月21日から3月3日までの期間中、ユーザーがAlipayのタッチ決済機能を利用すると、紅包や金製品が当たる抽選に参加できる。
紅包はその場でリアルタイムにアカウントへ付与される。キャンペーン景品である2026個の金製品については、期間終了後に当選者へ一括で送付される予定だ。同キャンペーンは、実店舗でのAlipay決済の利用頻度を高める狙いがあるとみられる。
日本にとっての意味
テンセントとAlibabaによる春節「紅包」キャンペーンは、日本企業にとって中国市場におけるデジタルマーケティング戦略の再考を迫る。まず、テンセントが新SNSアプリ「元宝(Yuanbao)」を紅包配布のプラットフォームとして活用している点は、日本のコンテンツプロバイダーやEC企業が中国市場で新規顧客を獲得する際の新たなチャネル開拓の可能性を示唆する。既存のWeChatだけでなく、新興SNSへの早期参入が競争優位に繋がり得る。
次に、Alipayが2月21日から3月3日の期間、タッチ決済利用で紅包や金製品2026個を景品とするキャンペーンを展開している事実は、日本の小売業や観光業にとって、インバウンド消費喚起におけるモバイル決済の重要性を改めて浮き彫りにする。訪日中国人観光客の消費行動がデジタル化する中、Alipayのような主要決済サービスとの連携強化は、実店舗での消費を促す上で不可欠となる。特に、日本国内の店舗でAlipayタッチ決済導入を加速し、同様のインセンティブキャンペーンを共同で企画することで、中国人観光客の購買意欲を直接的に刺激できる。
最後に、両社がデジタルお年玉を通じて顧客エンゲージメントを高めている現状は、日本企業が中国市場でブランド認知度を向上させる上で、単なる広告出稿に留まらない、インタラクティブなデジタルキャンペーンの企画が不可欠であることを示唆する。特に、中国の消費者行動が「体験」を重視する傾向にあることを踏まえ、デジタルとリアルを融合したキャンペーン設計が、日本製品やサービスの差別化に繋がるだろう。