中国政府は、「第15次五カ年計画」(2026〜2030年)の期間中に、全国約200都市で「無廃棄都市」構想を推進する方針を示した。工業固形廃棄物の再資源化を循環経済の中核に拠え、都市のグリーン転換を加速させる。

2030年までに200都市へ拡大

2019年に始まった同構想は、2022年時点で対象が約100都市に拡大していた。今回の発表は、対象都市をさらに倍増させるものだ。重点地域として、北京・天津・河北、長江デルタ、広東・香港・マカオ大湾区(グレーターベイエリア)、長江中流都市群、成都・重慶地区などが挙げられており、これらの地域では「無廃棄都市」の共同建設が進められる。

産業廃棄物の再資源化が中核

中国政府は、循環経済の重要性を改めて強調している。構想の核心は、廃棄物の発生源からの削減資源としての再利用、そして無害化処理の3点だ。特に、経済的利益と環境負荷低減を両立できるとして、工業固形廃棄物の再資源化に重点を置く。新華社通信によると、政府は今後、生活廃棄物の分別とリサイクル体制の強化も進める計画だ。

日本企業への示唆

中国が「無廃棄都市」構想を200都市へ拡大する方針は、日本企業にとって明確な事業機会とリスクを提示する。

まず、産業廃棄物の再資源化が中核となる点から、日本の環境技術企業には大きな商機が生まれる。特に、中国が重点地域として挙げる広東・香港・マカオ大湾区(グレーターベイエリア)などの経済圏では、高度なリサイクル技術や廃棄物処理プラントの需要が急増するだろう。例えば、廃プラスチックや廃電子機器からの高純度素材回収技術を持つ企業は、中国の循環経済政策に合致し、現地企業との提携や技術供与を通じて市場参入を加速できる。

次に、生活廃棄物の分別・リサイクル体制強化は、日本の自治体や企業が培ってきたノウハウの輸出機会となる。日本の廃棄物管理システムは世界的に評価が高く、特に分別回収の効率性やリサイクル率向上に関する知見は、中国の都市部で求められる。例えば、AIを活用した自動選別システムや、地域住民の参加を促すインセンティブ制度の導入支援など、具体的なソリューション提供が期待される。

一方で、中国国内でのリサイクル技術の高度化と普及は、日本がこれまで中国に輸出してきた一部の原材料や中間製品の需要を減少させるリスクも孕む。中国が自国で資源を循環させる能力を高めることで、日本の素材メーカーなどは新たな高付加価値製品の開発や、中国以外の市場開拓を迫られる可能性がある。