中国でウィンタースポーツが一大ブームとなっている。政府主導の普及戦略が奏功し、参加人口は2億9200万人に到達した。市場規模は2024年に9800億元(約20兆円)に達する見込みで、特に雪に馴染みの薄い南方からの観光客がブームを牽引している。

政府主導で参加人口が急拡大

中国政府が推進する「南展西拡東進(ウィンタースポーツの南方・西部への普及と東部のレベル向上)」戦略により、全国でウィンタースポーツの参加人口が拡大している。特に、温暖な気候の南方からの観光客が、ブームの主な押し上げ要因となっている。

南方からの観光客が7割超のイベントも

北方のスキーリゾートには、南方からの観光客が押し寄せている。黒竜江省伊春市で最近開催されたクロスカントリー大会では、参加者約200人のうち7割以上を南方からの観光客が占めた。参加者らは雪景色に覆われた広大な森林地帯で、速さと持久力を競ったという。

2024年に市場規模は1兆元に迫る

中国のウィンタースポーツ関連産業の市場規模は、2020年の3811億元から2024年には9800億元(約20兆円)に拡大する見通しだ。中国旅遊研究院の報告によると、年平均成長率は26.6%に達する。参加人口は2億9200万人、うち個人での参加者は8100万人に上り、一過性の体験から継続的な趣味へと定着しつつある。

北京体育大学の鄒新嫻教授は、「一過性の体験客を継続的な消費者へと転換させるには、より細分化された消費ニーズに応える必要がある」と指摘している。

日本にとっての意味

中国のウィンタースポーツ市場急拡大は、日本企業にとって明確な機会と課題を提示する。まず、市場規模が2024年に9800億元に達する見込みであることから、日本のスキー場運営会社やウィンタースポーツ用品メーカーは、インバウンド需要の増加を見込むことができる。特に、記事が指摘する南方からの観光客の増加は、これまでスキー経験の少なかった層が日本の雪質やサービスに魅力を感じる可能性が高い。彼らは中国国内での体験を足がかりに、より質の高い体験を日本に求めるだろう。

次に、中国のウィンタースポーツ市場が「一過性の体験から継続的な趣味へと定着しつつある」という点は、日本の観光業にとって重要だ。単なるスキー体験だけでなく、日本の温泉や食文化と組み合わせた長期滞在型パッケージの開発が有効となる。例えば、北海道のニセコや長野県の白馬といった既存の国際的なスキーリゾートは、中国の富裕層や中間層の継続的な顧客獲得を目指し、家族向けプログラムや多言語対応を強化すべきだ。

一方で、中国政府の「南展西拡東進」戦略は、中国国内の施設拡充とサービス向上を意味する。これは、日本のスキーリゾートが中国市場で競争力を維持するために、単なる雪の質だけでなく、ホスピタリティやユニークな体験価値で差別化を図る必要性を示唆している。北京体育大学の鄒新嫻教授が指摘するように、「より細分化された消費ニーズに応える」視点は、日本企業が中国市場で成功するための鍵となる。例えば、日本のスキーインストラクターによる指導プログラムの提供や、中国の文化に合わせたサービス展開が求められるだろう。