中国の配車サービス大手DiDi(DiDi(滴滴出行))は2025年3月13日、2024年第4四半期および通期の決算を発表した。通期の主にプラットフォームにおける注文件数は前年比14%増の182.4億件に達し、1日あたりの注文件数のピークは6500万件を超え、過去最高を更新した。

中国国内事業も堅調に推移

DiDiの中核事業である中国国内の配車サービスも堅調だ。2024年第4四半期の注文件数は前年同期比10.1%増、1日平均で3890万件に達した。通年では前年比10.8%増137.35億件となり、安定した成長基盤を示している。DiDiが発表した決算報告によると、中国の配車サービス市場は同社を筆頭に成長が続いている。

会員制度とサービス多様化で成長維持

DiDiは、競争が激化する市場で優位性を保つため、複数の戦略を展開している。特に、会員制度の強化を通じて利用者の体験価値向上を図っている点が特徴だ。また、ドライバーの待遇改善やサービスの多様化にも注力しており、これら施策が持続的な成長を支えている。これらの戦略は、DiDiが中国市場での競争力を高める上で不可欠である。

日本の関連性

DiDiの堅調な成長は、日本企業にとって中国モビリティ市場への再参入機会と、データ活用戦略の重要性を浮き彫りにする。まず、DiDiの2024年通期注文件数が182.4億件、1日平均で3890万件という規模は、中国の巨大な移動需要を示す。かつてDiDiと提携し、中国市場から撤退したソフトバンクグループ傘下のPayPayは、このデータから中国のキャッシュレス決済とモビリティの融合における新たな可能性を探るべきだ。DiDiが会員制度強化やドライバー待遇改善で成長を維持している点は、単なる配車サービスに留まらない「スーパーアプリ」戦略の成功を示唆する。

次に、DiDiが蓄積する膨大な移動データは、日本の自動車メーカーや物流企業にとって、中国市場におけるMaaS(Mobility as a Service)事業開発の貴重なインサイトとなり得る。例えば、トヨタ自動車はDiDiのデータから、中国都市部でのEV充電インフラの最適配置や、自動運転技術の実証実験における走行ルート選定に役立てることで、市場投入戦略を加速できる。また、DiDiがドライバーの待遇改善に注力している事実は、中国における労働力確保の難しさを示唆しており、日本企業が中国で事業展開する際の労務戦略に反映させるべき課題である。この成長は、日本企業が中国市場のデジタル化の進展と、データ駆動型ビジネスモデルの重要性を再認識する契機となる。