中国の電動アシスト自転車(e-bike)ブランド「TENWAYS」が、欧州市場で急速に事業を拡大している。2021年設立の新興企業ながら、デザイン性の高い製品とD2C(Direct to Consumer)モデルを武器に、年間販売台数は5万台規模に迫る。同社は事業拡大に向け、香港証券取引所への上場を申請した。
新興ブランドTENWAYSの躍進
TENWAYSを創業したのは、1985年生まれの梁霄凌氏だ。中国の自転車製造業を営む家庭に生まれ、業界での経験を積んだ後、2021年に同社を設立した。
同社は当初から欧州市場を主にターゲットとし、売上の97%以上を海外市場が占める。主力製品は価格1万人民元(約22万円)以上の電動アシスト自転車で、洗練されたデザインが欧州の消費者の支持を集めている。販売台数は2022年に3万8,800台、2023年には4万7,600台と順調に推移。2024年は第3四半期(1〜9月)までで4万3,700台を販売し、成長が続いている。
活況を呈する欧州e-bike市場
欧州の自転車市場では近年、大きな変化が起きている。かつては低価格帯の電動自転車が一般的だったが、現在は環境意識や健康志向の高まりを背景に、より高性能でデザイン性に優れた電動アシスト自転車が人気を集めている。
TENWAYSの成功は、こうした市場のトレンドを的確に捉えた結果だ。同社はオンラインでの直接販売を主軸に拠えることで、中間コストを削減し、競争力のある価格と迅速な顧客対応を実現していると、中国メディアなどは報じている。
香港上場でさらなる飛躍へ
TENWAYSは現在、香港証券取引所への上場を目指している。株式公開によって調達した資金は、研究開発の強化、生産能力の増強、および販売網の拡大に充当する計画だ。
新興ブランドながら欧州市場で確固たる地位を築きつつある同社の成長は続くと見込まれており、今後の事業展開が注目される。
日本の関連性
中国のe-bikeブランド「TENWAYS」の欧州市場での躍進は、日本企業にとって二つの明確な示唆を与える。第一に、欧州における高価格帯e-bike市場の成長機会だ。TENWAYSが価格1万人民元(約22万円)以上の製品で成功し、2023年に4万7,600台を販売した事実は、単なる低価格競争ではない、デザインと品質を重視する層が欧州に存在することを示す。日本の自転車メーカー、例えばブリヂストンサイクルやパナソニックサイクルテックは、電動アシスト自転車の技術力とブランド力を持つ。TENWAYSがD2Cモデルで中間コストを削減し競争力を得たように、日本企業も既存の流通網に囚われず、欧州市場の消費者に直接リーチする販売戦略を検討すべきだ。
第二に、中国企業のグローバル市場における競争力向上への警戒である。TENWAYSは設立わずか3年で、売上の97%以上を海外市場、特に欧州で稼ぎ出す。これは、中国企業が国内市場の規模だけでなく、迅速な製品開発とD2Cなどの革新的なビジネスモデルを組み合わせることで、特定のニッチ市場で急速にシェアを奪い得ることを意味する。日本企業は、伝統的な強みを持つ分野においても、中国の新興企業が同様の手法で参入してくる可能性を考慮し、製品開発サイクルや販売戦略の柔軟性を高める必要がある。特に、環境意識の高まりを背景としたモビリティ市場は、今後も中国勢の攻勢が予想される分野だ。