JPモルガンは、金価格が2026年までに1オンスあたり5,055ドルを突破する可能性があるとの予測を発表した。関税政策の不確実性や各国中央銀行による旺盛な需要が続くことで、2025年には4,000ドルを超え、史上最高値を更新すると見ている。

旺盛な需要が価格を牽引

JPモルガンによると、上場投資信託 (ETF) や各国中央銀行からの強い需要が、金価格を押し上げる主に因となる。さらに、中国の保険業界や暗号資産分野からの新たな投資需要も、価格上昇を後押しする可能性があるとの見方だ。

同行のストラテジスト、ナターシャ・カネーワ氏は「金価格の基準を高める傾向はまだ衰えておらず、公的準備金や投資家の分散投資は長期的にまだ拡大の余地がある」と述べ、需要の持続性に自信を示した。

ドル安と地政学リスクが追い風

ドル安や米国の金利低下、経済や地政学的な不確実性は、伝統的に金の魅力を高める要因であり、今回の上昇局面でも重要な役割を果たしている。金はインフレヘッジとしての役割が期待される一方、利息を生まないため、利回りを持つ米国債などと競合する資産でもあると、JPモルガンは指摘している。

中央銀行の買い入れ継続が前提

今回の予測は、投資家や中央銀行による強い需要が今後も継続することを前提としている。JPモルガンは、各国中央銀行が2026年にかけて、四半期ごとに平均で585トンの金を購入すると予測している。この組織的な買い入れが、金価格の下値を支え、上昇トレンドを維持する上で不可欠な要素となる。

日本市場への影響

JPモルガンの金価格予測は、日本の対中ビジネス戦略に具体的な影響を及ぼす。まず、中国の中央銀行や保険業界からの金への旺盛な需要は、日本企業が中国市場で展開する金融商品や投資サービスに新たな機会をもたらす。例えば、日本の証券会社は、中国の富裕層や機関投資家向けに、金連動型ETFや貴金属投資信託の開発・販売を強化することで、新たな収益源を確保できる可能性がある。

次に、金価格が2026年に1オンス5,055ドルを突破するとの予測は、日本の製造業、特に電子部品や自動車産業における原材料調達コストに直接的な影響を与える。金は半導体やコネクタなどの主要部品に不可欠な素材であり、価格高騰は生産コストの上昇を招く。このため、日本企業は代替素材の開発や、サプライチェーンの多様化を加速させる必要に迫られる。例えば、村田製作所やTDKのような電子部品メーカーは、金の使用量を削減する技術革新や、リサイクル金の利用拡大を検討すべきだろう。

最後に、地政学リスクの高まりが金価格を押し上げる要因となることは、日本の対中投資におけるリスク評価に影響を与える。中国経済の不確実性や米中関係の緊張は、日本企業が中国で保有する資産価値に変動をもたらす可能性がある。このため、日本の企業は、中国への直接投資に際し、為替リスクやカントリーリスクのヘッジ手段として、金資産の組み入れを検討するなど、ポートフォリオの分散化を戦略的に進めることが求められる。