中国で、一人暮らしの安全を見守るシンプルなアプリが人気を博している。一方で、15年前のiPhoneが再評価されたり、PC用メモリーの価格が急騰したりと、テクノロジーと社会が絡み合う多様な現象が起きている。本記事では、中国で観測されている複数の最新動向を解説する。
一人暮らしの不安に応える安否確認アプリが人気
中国で、一人暮らしの人々向けに開発された安否確認アプリ「死了么 (死んだか?)」が爆発的な人気を集めている。この手軽な安否確認ツールは、ユーザーが設定した緊急連絡先に対し、毎日のチェックインが途絶えた場合に自動でメールを送信する仕組みだ。
開発者の郭氏によると、プロジェクトが立ち上がったのは2025年中頃で、実際の開発期間は1カ月未満、初期投資は1000元(約2万円)程度だったという。ユーザー数の急増に伴いサーバーの負荷が増大しており、チームはサーバー増強に追われていると述べた。
旧型iPhone 4が再評価、レトロな画質に注目
発売から15年が経過した「iPhone 4」が、中国の若者の間で人気が再燃している。SNSのTikTokが火付け役となり、iPhone 4に関連する検索数は1000%以上増加したとの情報もある。
専門家によると、iPhone 4に搭載された500万画素カメラは、最新機種の4800万画素カメラに技術的には劣るものの、その独特のレトロな画質やノスタルジックな雰囲気が支持されている。しかし、同機のOSサポートは2014年のiOS 7.1.2で終了しており、10年以上セキュリティ更新が行われていないため、利用には注意が必要だ。
メモリー価格が高騰、新たな「安全資産」に
PCなどに使われるメモリーモジュール(DRAM)の価格が高騰している。上海の販売業者からは「メモリー100本で市内のマンションが買える」との声も上がるほどだ。一部では、伝統的な安全資産である金を上回る投資対象と見なされている。
背景には、データセンターや計算センターでの需要急増があるとみられる。この動向は、世界の半導体市場にも影響を与えている。
その他:香港議員の資産、シャオミ中古車価格
このほか、香港では新たに就任した立法会議員の資産が公開され、霍啓剛議員が中国本土や海外に35件の不動産を所有していることが明らかになった。また、自動車市場では、シャオミ製中古車の価格が大きく下落しており、走行距離1万キロ程度の車両で新車価格から15万元(約300万円)以上値下がりする例も出ている。
日本市場への影響
中国のテックトレンドは、日本企業にとって新たなビジネス機会とリスクを示唆する。安否確認アプリ「死了么」が初期投資1000元で爆発的な人気を得た事例は、中国市場におけるニッチな社会課題解決型アプリの潜在力を示す。日本企業は、高齢化や一人暮らし世帯増加といった共通の社会課題に対し、中国発の低コスト・高効率なソリューション開発モデルを参考に、新たなサービス展開を検討できる。
iPhone 4の再評価は、中国消費者の間で「レトロ」や「ノスタルジー」といった非機能的価値が重視され始めていることを示唆する。これは、日本のコンテンツ産業や老舗ブランドが、過去の製品やデザインを再構築し、中国市場に投入する際のヒントとなる。単なる高機能競争ではなく、情緒的価値を訴求するマーケティング戦略が有効となるだろう。
DRAM価格の高騰は、半導体サプライチェーンにおける中国の影響力増大を浮き彫りにする。日本の電子機器メーカーは、DRAMの安定供給確保に向けたリスク分散策を強化する必要がある。また、中国のデータセンター需要が価格高騰の背景にあるとすれば、日本の半導体製造装置メーカーや材料メーカーにとっては、新たな輸出機会となり得る。ただし、シャオミ製中古車が15万元以上値下がりした事例は、中国市場における製品ライフサイクルの速さと価格競争の激しさを物語っており、日本企業は参入・撤退戦略を慎重に練るべきである。