中国の人型ロボット開発をリードするUnitree Robotics (Unitree(宇樹科学技術)) とAgibot (智元機器人) が、それぞれ新規株式公開 (IPO) に向けた準備を進めていることが明らかになった。両社はすでに巨額の資金調達を完了しており、その企業評価額は合計で200億元 (約3,700億円) を超える。テスラの「オプティマス」などが注目を集める中、中国勢が商用化で市場を席巻する可能性が出てきた。

評価額2200億円、Unitreeの急成長

四足歩行ロボットで知られるUnitree Roboticsは、2024年2月にシリーズB2の資金調達を完了し、企業評価額が100億元 (約2,200億円) に達したと、中国メディア36Krなどが報じた。同社は人型ロボット「H1」の開発も進めており、その運動性能の高さを示す動画を公開し注目を集めている。IPOは早ければ2025年にも実施される可能性がある。

Unitreeはこれまで美団 (Meituan) やテンセント (Tencent) 系の投資会社などから出資を受けてきた。産業用の巡視・点検からエンターテインメントまで、幅広い応用分野で商用化を加速させている。

天才少年創業のAgibot、評価額1500億円

一方のAgibotは、2023年3月時点で評価額が70億元 (約1,540億円) に達している。同社は11回の資金調達を完了しており、こちらもIPOに向けた動きを本格化させている。創業者の稚暉君氏は、ファーウェイ (ファーウェイ技術) の天才技術者として知られた人物だ。

Agibotが開発する人型ロボット「遠征A1」は、自動車製造ラインでの実証実験を行うなど、産業応用を強く意識している。大規模言語モデル (LLM) を搭載し、自律的に作業をこなす能力を強みとしており、中国の新エネルギー車 (NEV) メーカーなどとの連携を深めている。

日本への影響と今後の展望

中国の人型ロボット開発企業2社のIPO準備は、日本企業にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、Unitree RoboticsAgibotの合計評価額が3,700億円を超える規模に達していることは、中国が人型ロボット分野で世界的な商業化競争の主導権を握りつつあることを示唆する。特にAgibotが自動車製造ラインでの実証実験を進め、中国の新エネルギー車(NEV)メーカーとの連携を深めている点は、日本の自動車メーカーや関連サプライヤーにとって、製造自動化における新たな競争相手の台頭を意味する。

これは、日本の産業用ロボットメーカーがこれまで培ってきた技術的優位性が、中国の急速な技術革新と大規模な資金投入によって相対的に低下するリスクをはらむ。例えば、ファナックや安川電機といった日本の主要ロボットメーカーは、人型ロボットの産業応用において、中国勢が先行する可能性を考慮し、開発戦略の見直しを迫られるかもしれない。

また、Unitreeが美団やテンセントといった中国の巨大IT企業からの出資を受けている点は、彼らが単なるハードウェア開発に留まらず、広範なエコシステムと連携したサービス展開を視野に入れていることを示唆する。日本のロボット関連企業は、中国市場における人型ロボットの需要創出と商業化モデルの変化を注視し、自社の技術をいかに異なる産業やサービスと融合させるか、新たなビジネスモデルを模索する必要がある。この動きは、日本の製造業が直面する人手不足への対応策として、中国製人型ロボットの導入を検討せざるを得ない状況を生み出す可能性も秘めている。