中東の地政学リスクが高まる中、世界のエネルギー供給の生命線であるホルムズ海峡が閉鎖された場合、韓国が深刻なエネルギー危機に陥る可能性が指摘されている。原油輸入の約6割を同海峡に依存しており、半導体や自動車といった基幹産業への影響は避けられない見通しだ。

生命線を絶たれる韓国経済

ホルムズ海峡が閉鎖されれば、韓国のエネルギー供給網は深刻な打撃を受ける。韓国は原油輸入の約60%、液化天然ガス(LNG)輸入の約30%を同海峡経由で調達している。エネルギー供給が滞れば、電力多消費型の半導体産業や、広範なサプライチェーンを持つ自動車産業は、生産停止に追い込まれるリスクに直面する。

韓国のエネルギー自給率は極めて低く、供給の約7割を輸入に依存している。特に原油と天然ガスは経済活動の根幹をなしており、その供給不安は経済全体を揺るがしかねない脆弱な構造を抱えている。

政府、備蓄解放など緊急措置を検討

韓国政府は、この潜在的な危機に対応するため、緊急措置の検討に入った。政府は、有事に備えて備蓄している戦略石油(約90日分)の放出を視野に入れるとともに、代替調達先の確保を急ぐ方針だ。また、国民や企業に対し、大規模な節電を要請することも想定される。

エネルギー政策の転換も急務となっている。政府は再生可能エネルギーの導入を推進しているが、即効性のある解決策とはなり得ない。そのため、脱原子力を掲げた前政権の方針を見直し、原子力発電の活用を再検討する動きも出ているが、安全性に対する国民の懸念は根強く、議論は難航している。

日本企業への示唆

ホルムズ海峡閉鎖は、韓国経済に直接的な打撃を与えるだけでなく、日本にも間接的な影響を及ぼす。第一に、韓国の半導体・自動車産業が生産停止に追い込まれた場合、これら韓国企業を主要顧客とする日本の部品・素材メーカーは、売上減少のリスクに直面する。例えば、日本の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロンやSCREENホールディングスは、韓国の半導体大手であるサムスン電子やSKハイニックスに製品を供給しており、韓国の生産活動停滞は両社の業績に悪影響を与える可能性がある。

第二に、韓国がエネルギー危機に陥り、国際市場で原油やLNGの代替調達を急げば、需給が逼迫し、価格が高騰する。日本も中東からのエネルギー輸入比率が高く、特にLNG輸入の約30%をホルムズ海峡経由で調達しているため、国際価格の高騰は日本の輸入コスト増に直結し、企業収益や家計を圧迫する。

第三に、韓国政府が原子力発電の活用を再検討する動きは、日本のエネルギー政策にも影響を及ぼす可能性がある。韓国の脱原子力政策見直しが具体化すれば、日本国内の原子力発電所の再稼働議論や、新規建設の是非にも影響を与え、エネルギーミックスの再編を加速させる契機となるかもしれない。日本は、韓国のエネルギー政策転換の動向を注視し、自国のエネルギー安全保障戦略を再評価する必要がある。