中国の新興EVメーカー、Li Auto(リ・オート)(Li Auto)が、AIと半導体の融合を加速させている。同社の李想・最高経営責任者(CEO)は、2026年を目標に人型ロボット開発を本格化する方針を明らかにした。自動運転技術で培った大規模モデルを応用し、新たな事業領域の開拓を目指す。

自動運転技術をロボット開発に応用

李想CEOは2024年のAIに関する講演で、レベル4の自動運転には未解決の課題が残るため、現時点での人型ロボット開発は時期尚早だとの認識を示した。しかし、長期的には自動運転技術がロボット開発の基盤になると強調。2026年を目標に、AIと半導体の融合を推進する計画だ。

同社が開発するVLA(視覚・言語・行動)を応用した大規模ドライバーモデルは、数億キロメートル分の走行データを基に学習しており、高度な空間知能、言語理解、行動決定能力を備える。この技術基盤を人型ロボット開発に転用する戦略である。

専門家招聘と開発体制の再構築

Li Auto(リ・オート)は2024年初頭、ロボット分野の専門家である廖平平氏を招聘し、車輪式の双腕人型ロボットの開発に着手した。中国メディアの報道によると、このプロジェクトは一時、技術的制約や未成熟なサプライチェーンを理由に中断されたという。

しかし、同社は計画を断念しておらず、自動運転技術のさらなる進化を待って開発を再開する構えだ。将来的には、自動運転車と人型ロボットの両輪で事業を展開することを目指している。

日本企業への示唆

Li Autoが2026年を目標に人型ロボット開発を本格化する方針は、日本の自動車産業、特に部品サプライヤーにとって新たな機会とリスクをもたらす。同社が自動運転技術で培った数億キロメートル分の走行データを基にしたVLA(視覚・言語・行動)大規模ドライバーモデルをロボット開発に転用する戦略は、高度なセンサー、アクチュエーター、AIチップの需要を喚起するだろう。

具体的には、Li Autoが廖平平氏を招聘し、車輪式の双腕人型ロボットの開発に着手していることから、日本の精密モーターメーカーや画像認識技術を持つ企業には、新たな供給先としての可能性が生まれる。特に、ロボットアームや移動機構に必要な高精度部品、およびLi Autoの自動運転技術と連携するAI処理能力の高い半導体は、日本企業が強みを発揮できる領域だ。

一方で、Li Autoが「未成熟なサプライチェーン」を理由にプロジェクトを一時中断した事実は、中国国内でロボット部品の自給化が進む可能性を示唆する。これは、日本の部品メーカーが技術優位性を維持し、中国市場のニーズに合わせた製品開発を加速させなければ、将来的に市場を失うリスクがあることを意味する。日本の企業は、Li Autoのロボット開発の進捗を注視し、協業の機会を探るとともに、中国市場における競争環境の変化に対応する戦略を練る必要がある。