中国の規制当局は、急成長するライブコマース市場における不正行為を取り締まるため、新たな規制案を発表した。消費者保護を強化し、市場の健全な発展を促すことが目的だ。新規則は、プラットフォーム事業者や配信者の責任を明確化し、違反行為への罰則を厳格化する内容となっている。

プラットフォーム事業者の責任を強化

新たな規則では、ライブコマースのプラットフォーム事業者に対し、複数の義務を課している。具体的には、プラットフォームの規約や基本的に情報を公開する義務、出店者の事業者情報や登記情報を確認・記録する義務、そしてインフルエンサーなど配信者の身元情報を確認する義務が含まれる。

これにより、これまで曖昧だったプラットフォーム側の管理責任が法的に明確化される。事業者は、自社プラットフォーム上で行われる取引の透明性と安全性を確保するための体制構築を迫られることになる。

違反行為への罰則を厳格化

新規則は、ライブコマースにおける禁止行為も具体的に定めている。虚偽の宣伝や他社の信用を傷つける商業的誹謗、そして違法な商品やサービスの販売が明示的に禁止された。

違反が確認された場合、市場監督管理部門やサイバーセキュリティ部門が連携して対応にあたる。当局は事業者に対して行政指導を行うことができるほか、違反の程度に応じて信用情報システムと連動した罰則を科すことも可能となる。これにより、悪質な事業者や配信者の排除を進める構えだ。

日本への影響

中国のライブコマース規制強化は、日本企業にとって二つの明確な影響をもたらす。まず、中国市場でライブコマースを活用する日本企業は、プラットフォーム事業者を通じて、出店者の事業者情報やインフルエンサーの身元情報確認義務を厳格に順守する必要がある。特に、中国の消費者向けに化粧品や食品を販売する日本企業は、現地法人の設立や提携する中国側プラットフォームの選定において、これらの情報開示義務を履行できる体制が必須となる。

次に、虚偽宣伝や違法な商品・サービスの販売に対する罰則厳格化は、日本製品のブランド価値保護に寄与する可能性がある。これまで模倣品や虚偽の情報がライブコマース上で拡散されるリスクがあったが、規制当局による行政指導や信用情報システムとの連動した罰則により、悪質な事業者が排除されることで、正規の日本製品が適正に評価されやすくなる。例えば、日本の人気アニメキャラクターグッズの偽造品がライブコマースで販売される事例が散見されたが、今後はプラットフォーム側の責任強化と罰則により、こうした不正行為が抑制され、正規品の販売機会が増加するだろう。

しかし、規制強化は同時に、日本企業が中国市場でライブコマースを通じて製品を販売する際の参入障壁を高める可能性も秘めている。特に中小企業にとっては、新たな情報開示義務やコンプライアンス体制構築の負担が増大し、市場参入のハードルが上がる可能性がある。