中国の電子商取引 (EC) 大手、Pinduoduo (Pinduoduo(拼多多)) 傘下の越境ECプラットフォーム「Temu(テム、PDD系)」が急成長を続けている。同社は2025年までに商品取扱高 (GMV) で1000億ドル達成を目標に掲げ、経営体制を強化してグローバル展開を加速する。サービス開始からわずか3年での目標達成を目指す計画だ。

共同会長就任と経営体制の強化

Pinduoduoは2024年11月19日の第3四半期決算発表後、米証券取引委員会 (SEC) に提示したした臨時報告書 (Form 6-K) で、12月19日に株主総会を開催すると発表した。この中で、新たに共同会長制度を導入し、共同CEOの趙佳臻氏を共同会長に任命すると明らかにした。趙氏の過去2年間の実績を評価した人事とみられる。

この経営体制強化の背景にはTemu(テム、PDD系)の急成長がある。Pinduoduoは、Temu(テム、PDD系)が「10年分の成長を3年で達成する」ほどの勢いで、わずか3年で同社の国内主力事業の規模に迫っていると初めて公式に言及した。

驚異的なスピードで世界市場を席巻

地政学リスクによる貿易障壁や海外市場でのインフレ圧力により、多くの越境EC企業が成長の停滞に直面する中、Temu(テム、PDD系)は急速に事業を拡大している。2022年9月のサービス開始から2年余りで、事業展開は90以上の国と地域に達した。

市場調査会社Sensor Towerのデータによると、Temu(テム、PDD系)は2024年の最初の10カ月間で、世界のECアプリにおけるダウンロード数と月間アクティブユーザー (MAU) の伸び率で首位を獲得した。世界での累計ダウンロード数は12億回を突破し、同年8月時点のMAUは5億3000万人に達している。

GMVの成長も急激で、2023年の180億ドルから2024年には540億ドルに達する見込みだ。2025年には1000億ドルの大台を目指す。これは多くの海外EC大手が20年を要した成長規模に匹敵する。この成功の背景には、中国の効率的なサプライチェーンを基盤としたフルフィルメントモデルや、消費者と製造者を直接つなぐ「C2M (Consumer to Manufacturer)」モデルの活用があるとされる。

日本市場への影響

TemuのGMV1000億ドル目標は、日本のEC市場に直接的な脅威となる。2022年9月のサービス開始からわずか2年余りで90以上の国と地域に展開し、2024年8月にはMAUが5億3000万人に達した驚異的なスピードは、日本の消費者向けECプラットフォーム、例えば楽天やYahoo!ショッピングの顧客基盤を侵食する可能性が高い。特に、Temuが強みとする低価格帯の製品群は、日本の100円ショップやディスカウントストアが扱う商品と競合し、これらのサプライチェーンに影響を及ぼすだろう。

また、TemuのC2Mモデルは、日本の製造業に新たな機会と課題をもたらす。同社が2025年に1000億ドルのGMVを目指す中で、日本の高品質な中間財や部品、素材メーカーは、Temuのサプライチェーンに組み込まれることで、新たな販路を獲得できる可能性がある。しかし、一方で、Temuの低価格競争力は、日本の消費財メーカーに対し、コスト削減と効率化を一層強く迫ることになる。特に、ユニクロのようなSPA(製造小売)モデルを持つ企業は、TemuのC2Mモデルによる価格競争力に対抗するため、生産体制やサプライチェーンの再構築を迫られるだろう。この動きは、日本のEC市場における競争環境を根本的に変化させ、既存プレイヤーのビジネスモデルの見直しを促す。