トランプ前米大統領が、イランを意図的に挑発して先制攻撃を誘発し、米国に「合法的な反撃」の口実を与える作戦を承認したと、米ニュースサイト「アクシオス」が5月4日に報じた。ホルムズ海峡を巡るイランとの膠着状態を打開するため、軍事衝突の引き金を意図的に引こうとしているとの見方が出ており、中東情勢の緊張が急速に高まっている。

イラン挑発を狙う「自由計画」

アクシオスの報道によると、トランプ氏はイランとの間で「合意なく、戦争もなし」という現状に不満を募らせていた。当初、米中央軍からは米軍艦艇をホルムズ海峡に強行進入させ、武力で航路を確保する強硬策が提案された。これは、イランが反撃した場合、ミサイル基地や高速艇部隊を殲滅する全面戦争も辞さないという内容だった。

最終的にトランプ氏は、より慎重な「自由計画(Freedom Plan)」と名付けられた作戦を承認した。これは、海峡で立ち往生している民間船を米軍が「誘導」するという名目だが、関係筋は「人道支援を装い、イランに責任を転嫁する狙いがある」と指摘する。「イランが手を出せば彼らが悪者になり、我々に行動の正当性が生まれる」というシナリオだとされる。

変更された交戦規定と高まるリスク

米中央軍は3日、この作戦を支援するため兵士1万5000人、航空機100機以上、艦艇、無人機(ドローン)(ドローン)を動員する準備があると発表した。全面的な護衛作戦ではないとしつつも、米軍艦艇は海峡付近に待機し、いつでも介入できる情勢を整える。

また、この地域における米軍の交戦規定が変更されたことも、緊張を高めている。米当局者によると、部隊は海峡をを通じてする船舶への「差し迫った脅威」と判断した目標、例えばイスラム革命防衛隊の高速艇やミサイル陣地に対し、攻撃する権限を与えられたという。これは偶発的な衝突のリスクを著しく高める措置であり、事実上の挑発行為と受け取られる可能性もある。

イランの強硬な反発

イラン側は米国の動きに猛反発している。イラン議会の国家安全保障・外交政策委員会のイブラヒム・アジジ委員長は4日、「米国のいかなる干渉も停戦合意違反とみなす」と警告したした。イラン軍も同日、「ホルムズ海峡に接近するいかなる外国軍、特に攻撃的な米軍は攻撃対象となる」との声明を発表した。

実際に4日には、イランのファルス通信が「警告したを無視した米軍艦がミサイル攻撃を受け退却した」と報じたが、米中央軍はこれを否定している。専門家は、米国が「イランに選択を迫っている」と分析しており、中東情勢は予断を許さない状況だ。

日本の関連性

今回の報道は、日本にとってエネルギー安全保障上の喫緊の課題を突きつける。ホルムズ海峡は日本の原油輸入の約9割が通過する生命線であり、トランプ前大統領が承認した「自由計画」のような挑発行為は、偶発的な軍事衝突のリスクを著しく高める。仮にイランが米軍艦艇へのミサイル攻撃を試み、海峡が封鎖されれば、日本は原油供給の途絶という壊滅的な打撃を受ける。これは、2022年の日本の原油輸入額約20兆円(財務省貿易統計)に匹敵する経済的損失を招きかねない。

また、米中央軍が兵士1万5000人、航空機100機以上を動員する準備を進めていることは、中東地域における米軍のプレゼンス強化と、それに伴う地政学リスクの高まりを示唆する。日本企業、特に商社や海運会社は、ホルムズ海峡を通る船舶の保険料高騰や運航リスク増大に直面し、サプライチェーンの再構築を迫られる可能性がある。例えば、日本郵船や川崎汽船といった大手海運会社は、代替航路の検討やリスクヘッジ戦略の強化が急務となるだろう。

さらに、イランのファルス通信が報じた「米軍艦がミサイル攻撃を受け退却した」という真偽不明の情報は、プロパガンダ戦の激化を示しており、情報戦におけるリスク管理の重要性も浮き彫りにする。日本企業は、中東情勢に関する正確な情報収集と分析体制を強化し、不確実性の高い事業環境下での意思決定能力を高める必要がある。