2022年に開催された北京冬季オリンピックで、開催国の中国が冬季五輪史上最高の成績を収めた。金メダル9個、銀メダル4個、銅メダル2個の合計15個のメダルを獲得。金メダル数で米国を上回り、国別3位に躍進した。特にフリースタイルスキーやスノーボードなど、若者を中心に人気の高い新種目での活躍が目立った。
谷愛凌が2冠1銀、新世代スター誕生
今大会の中国選手団を象徴する存在となったのが、米国生まれのフリースタイルスキー選手、谷愛凌(アイリーン・グー)だ。女子ビッグエアとハーフパイプで金メダル、スロープスタイルで銀メダルを獲得し、1大会で3つのメダルを手にする快挙を成し遂げた。その圧倒的な実力とファッション性で、中国国内に一大ブームを巻き起こしたと、複数の海外メディアが報じている。
スノーボードやそり競技でも躍進
スノーボードでも新星が誕生した。男子ビッグエアで金メダル、スロープスタイルで銀メダルを獲得した蘇翊鳴は、当時17歳で中国の男子スノーボード史上初の五輪メダリストとなった。フリースタイルスキー・エアリアルでは男女ともに金メダル(男子:斉広璞、女子:徐夢桃)を獲得するなど、得意種目で強さを見せつけた。
さらに、スピードスケート男子500mでの高亭宇の金メダルや、フィギュアスケートのペア(隋文静・韓聡組)での優勝に加え、これまで中国が不得手とされてきたそり競技のスケルトン男子で閆文港が銅メダルを獲得。強化分野の多様化と着実な成果を示した。
日本への影響と今後の展望
北京五輪における中国の躍進は、日本企業にとってスポーツビジネスにおける新たな機会とリスクを提示する。金メダル9個、メダル総数15個という過去最高の成績は、中国国内におけるスポーツ熱の高まり、特に若者層への浸透を示す。フリースタイルスキーの谷愛凌(アイリーン・グー)やスノーボードの蘇翊鳴のような若手スターの台頭は、スポーツ用品、アパレル、メディアコンテンツといった関連市場の急拡大を意味する。
例えば、谷愛凌のファッション性が中国国内で「一大ブーム」を巻き起こした事実は、日本のスポーツアパレルメーカーやライフスタイルブランドにとって、中国市場でのブランド認知度向上や販売促進の好機となり得る。彼女のようなインフルエンサーとの協業や、若者向けのデザイン開発は、新たな顧客層獲得に直結するだろう。
一方で、中国がこれまで不得手とされてきたスケルトンでのメダル獲得など、強化分野の多様化は、日本が強みを持つウィンタースポーツ用品(スキー、スノーボード、スケート用品など)市場における競合激化を示唆する。中国国内ブランドの台頭や、自国選手への支援強化により、日本製品の市場シェアが脅かされる可能性もある。日本企業は、単なる製品供給にとどまらず、中国のスポーツ文化形成に深く関与する戦略、例えば若手育成プログラムへの投資や、中国国内でのブランド体験提供などを検討する必要がある。