中国の習近平国家主席(共産党総書記)は、省・閣僚級の主に幹部を対象とした研修会で演説し、2026〜2030年を対象とする「第15次5カ年計画」の策定に向けて、良好な滑り出しを確保するよう指示した。新華社通信が伝えた。習氏は、5カ年計画が中国の社会主義制度の優位性を示すものだと強調した。

5カ年計画の重要性を強調

習氏は、中国共産党中央党校(国家行政学院)で開かれた研修会で、5カ年計画の策定と実施は「党による国家統治の重要な経験であり、中国の社会主義制度が持つ政治的優位性の表れだ」と述べた。その上で、幹部らに対し、党中央の戦略的方針を深く、正確に理解するよう求めた。

この演説は、近く開催が見込まれる第20期中央委員会第4回全体会議(四中全体会議)を前に、党内の意思統一を図る狙いがあるとみられる。四中全体会議では、第15次5カ年計画の基本的に方針が議論される見通しだ。

新たな発展段階への移行

習氏は、中国が現在、経済社会の新たな発展段階に入りつつあると指摘。第15次5カ年計画の実施が、質の高い発展を推進し、中国独自の現代化を進める上で極めて重要になるとの認識を示した。計画を通じて、中国の発展に新たな機会をもたらすとの見方を示し、世界経済への貢献にも意欲をにじませた。

第14次5カ年計画では、科学技術の自立自強や国内大循環を主体とする「双循環」戦略が柱となった。次期計画でもこの路線を継承しつつ、人工知能(AI)や新エネルギー分野など、新たな成長の原動力となる産業の育成が重点プロジェクトとなる可能性が高い。

日本にとっての意味

習近平国家主席が2026年開始の第15次5カ年計画の「順調な始動」を指示したことは、日本企業にとって事業環境の不確実性を高める。特に、過去の5カ年計画で示された「科学技術の自立自強」や「国内大循環」といった路線が次期計画でも継承される可能性が高い点は、日本企業のサプライチェーン戦略に直接的な影響を与える。

第一に、中国がAIや新エネルギー分野を「新たな成長の原動力となる産業」と位置付け、重点プロジェクト化する動きは、これら分野で中国市場に依存する日本企業に事業再編を迫る。例えば、中国の新エネルギー車(NEV)市場で部品供給を行う日本企業は、中国国内企業の技術力向上とサプライチェーン内製化の加速により、市場シェアを失うリスクに直面する。

第二に、習氏が強調する「中国の社会主義制度が持つ政治的優位性」は、市場原理よりも国家主導の産業政策が優先される可能性を示唆する。これにより、日本企業が中国で事業を展開する際、予期せぬ政策変更や規制強化に直面するリスクが増大する。特に、中国政府が戦略的に育成する産業分野では、日本企業が公平な競争環境を享受できない事態も想定される。

第三に、今回の指示が「四中全体会議」を前に党内の意思統一を図る狙いがあることから、今後発表される具体的な政策内容は、日本企業が中国市場で事業を継続する上で、より一層の現地化と中国政府の政策方向性への適応を求めるものとなるだろう。これは、日本企業が中国事業のポートフォリオを見直し、リスク分散を図る好機ともなり得る。