中国の浙江省政府はこのほど、2025年までの技術革新に関する新たな目標を発表した。社会全体の研究開発(R&D)投資の対GDP比を3.3%に引き上げ、ハイテク産業の付加価値が工業生産に占める割合を70%にする計画だ。デジタル経済の中心地として、国際競争力のさらなる強化を目指す。
2025年に向けた具体的な数値目標
浙江省が掲げた計画では、2025年までに社会全体の研究開発(R&D)投資の対GDP比を3.3%に到達させることを目指す。また、省内のハイテク産業が生み出す付加価値が、工業全体の付加価値に占める割合を70%にまで高めるという意欲的な目標も設定された。これは、従来の製造業中心の経済構造から、技術主導型の高付加価値産業への転換を加速させる狙いがある。
AI・新素材分野への重点投資
目標達成のため、省政府は特に人工知知能(AI)や新素材、バイオテクノロジーなどの先端分野における技術革新を強力に推進する方針だ。Alibabaグループの本拠地としても知られる同省は、既存のデジタル経済の基盤を活用し、企業や研究機関への資金援助や政策的支援を強化する。これにより、産業構造の高度化を図ると、中国国営の新華社通信は伝えている。
日本への影響
浙江省が掲げるR&D投資対GDP比3.3%という目標は、日本企業にとって二つの明確な機会とリスクを提示する。まず、AIや新素材、バイオテクノロジー分野への重点投資は、これらの分野で強みを持つ日本の技術企業にとって、共同研究開発や技術ライセンス供与の機会を創出する。例えば、新素材分野では東レや帝人といった日本企業が世界的な競争力を持つため、浙江省内の企業や研究機関との連携を通じて、新たな市場開拓や技術提携の可能性が生まれる。
一方で、ハイテク産業の付加価値比率70%達成という目標は、サプライチェーンにおけるリスクを高める。浙江省が技術主導型経済への転換を加速させることで、これまで同省に生産拠点を置いてきた日本の汎用部品メーカーや組立企業は、現地での競争激化や、より高付加価値な技術への転換を迫られるだろう。特に、Alibabaグループのような既存のデジタル経済の巨人がAI分野でさらに力をつけることで、日本のITサービス企業は、中国市場での競争環境が一段と厳しくなることを覚悟する必要がある。これは、単なる市場機会の喪失に留まらず、技術的な優位性の相対的低下にも繋がりかねない。