中国のAIスタートアップNoDesk AIは、ユーザーの定型業務を自動化するAIアシスタント「DeskClaw」をわずか2週間で開発したと発表した。創業者はEC(電子商取引)データ分析の専門家で、その知見を活かし、高速な製品開発を実現した。

創業者はECデータ分析の専門家

NoDesk AIの創業者である宋健氏は、2014年にEC向けのDaaS(Data as a Service)企業「多准データ」を設立した経歴を持つ。同社ではビッグデータを活用した精密なマーケティング分析を手がけていた。その後、Zhipu AI(智譜)AI (Zhipu AI) などで、基盤モデルからAIエージェントへの応用を模索していたという。

ブラウザ操作を自動化する「DeskClaw」

同社が開発した「DeskClaw」は、ユーザーのPC上での定型業務を自動化するAIアシスタントだ。ブラウザ操作、ファイルの読み書き、ローカルアプリケーションの実行などを自動化できる。

また、中国の主にビジネスツールであるLark (飛書)DingTalk (釘釘)WeChat Work (企業WeChat(微信)) と深く連携する。さらに、MINIMax、Kimi、GLM、QwenDeepSeekなど複数の大規模言語モデル (LLM) を呼び出し、タスクを実行することが可能だ。

今後の事業展開とEC市場への注力

NoDesk AIは、今後「DeskClaw」の機能をさらに強化し、広く提供していく計画だ。AI技術を駆使してユーザーの具体的なニーズに応える製品開発を目指すとしている。

並行して、EC事業者向けのAIエージェント事業も展開しており、ワンストップでブランドマーケティングを支援するAIエンジンの開発も進めている。これは創業者の宋健氏が持つEC業界での経験を直接活かした事業となる。

日本市場への影響

NoDesk AIがわずか2週間でAIアシスタント「DeskClaw」を開発した事実は、中国におけるAI開発の速度と実用化への注力を示している。このスピード感は、日本企業が中国市場で競争する上で、製品開発サイクルや市場投入戦略の見直しを迫る。特に、中国のビジネスツールであるLarkやDingTalkとの連携は、日本企業が中国市場向けに提供するSaaS製品が、現地のプラットフォームとのシームレスな統合を欠けば、競争力を失うリスクを明確にする。

また、創業者の宋健氏がECデータ分析の専門家であり、EC事業者向けAIエージェント事業を展開する点は、日本企業にとって機会と脅威の両方をもたらす。日本のEC企業が中国市場に進出する際、DeskClawのようなAIツールを活用することで、マーケティングや業務効率化の面で優位に立てる可能性がある。しかし、同時に中国のEC事業者がAIを駆使して競争力を高めることで、日本企業の中国市場でのシェア獲得がより困難になる可能性もある。Zhipu AIのような基盤モデル開発企業との連携経験を持つ人材が、実用的なAIエージェントを高速で開発できるエコシステムが中国で形成されていることを認識し、日本企業は自社のAI戦略、特に中国市場でのパートナーシップ戦略を再考する必要がある。