中国の動画配信大手iQIYI (愛奇芸) が、生成AIを活用した動画制作技術の開発に注力している。同社の劉宇寧(リュウ・ユーニン)副社長は、AIが制作コストを大幅に削減し、創造性の高い人材が活躍する機会を創出するとの期待を示した。これは、中国政府が推進する国家AI戦略に沿った動きでもある。

生成AIで制作プロセスを刷新

iQIYIの劉宇寧副社長によると、AI動画生成技術の導入は、コンテンツ業界に存在する非効率な制作慣行を刷新する可能性を秘めているという。同氏は「AIは、真に創造的な人々が活躍するための好機をもたらす」と述べ、技術革新がクリエイターの支援につながるとの考えを強調した。同社は、この技術がコンテンツの制作コストを大幅に削減できる点も重要な利点として挙げている。

国家戦略を背景に技術開発を加速

中国のAI産業は、2019年に政府が発表した国家戦略を追い風に急速な成長を遂げ、世界トップレベルの技術力を獲得した。iQIYIが2020年からAI動画生成技術の開発に本格的に着手したのも、こうした大きな潮流の一環だ。同社は今後も、生成AI分野への投資を継続し、新たなコンテンツ開発を推進していく方針である。

日本への影響と今後の展望

iQIYIが生成AIによる動画制作に注力する動きは、日本のコンテンツ産業に直接的な競争圧力をもたらす。同社が「制作コストを大幅に削減」できると明言している点は、日本の制作会社が抱える高コスト体質との差異を際立たせる。アニメやドラマ制作において、中国勢がAIを活用して低コストで高品質なコンテンツを量産した場合、日本の作品は価格競争で劣勢に立たされる可能性がある。特に、日本のアニメ制作現場では労働集約的な工程が多く、AI導入による効率化が遅れれば、国際市場での競争力低下に直結する。

一方で、これは日本の技術企業にとって新たなビジネス機会も創出する。iQIYIが2020年からAI動画生成技術の開発に本格着手しているように、中国のコンテンツ企業はAI技術への投資を惜しまない。日本のAI関連企業、例えば画像生成AI技術を持つPreferred Networksや、音声合成技術を持つAITalkなどは、中国市場への技術提供や共同開発の可能性を探るべきだ。特に、日本のクリエイターが持つ独特の表現力や感性をAIに学習させることで、より付加価値の高いコンテンツ生成AIを開発し、それを中国企業にライセンス供与する戦略も考えられる。これにより、日本の技術が中国のコンテンツ産業の発展に貢献しつつ、収益を得る道が開かれる。