アップルが中国市場で、iOSに搭載されるAI機能のテストを一部ユーザーを対象に開始したことが分かった。AIの回答内容から、中国の検索大手、バイドゥ(バイドゥ)の技術を利用している可能性が浮上している。この機能はiPhone 15 Pro以降の高性能モデルに限定される見通しだ。

一部ユーザー限定でテスト開始

このほど、アップルは中国国内の一部のiPhoneユーザーに対し、AI機能のテスト提供を開始した。対象となったユーザーは、設定メニュー内の「Apple IntelligenceとAI」のプロジェクトから新機能を有効化できる。中国のIT系メディア『36Kr』などが報じたところによると、テストはごく小規模な範囲で実施されている模様だ。

アップルは6月の世界開発者会議(WWDC)で、独自のAI「Apple Intelligence」を発表したが、中国市場での展開については詳細を明らかにしていなかった。中国では、生成AIサービスの提供に際し政府の厳格な審査と認可が必要であり、海外企業が単独でサービスを展開することは極めて困難な状況にある。

AIの基盤はバイドゥか

アップルはAI機能の詳細について公式発表を行っていない。しかし、テストに参加した一部のユーザーからは、AIの回答がバイドゥの生成AI文心一言ERNIE Bot)』のものと酷似しているとの指摘が出ている。このことから、アップルが中国の規制をクリアするため、現地パートナーとしてバイドゥを選定し、同社のAIモデルを基盤にサービスを構築している可能性が高いとみられている。

ハードウェア要件はiPhone 15 Pro以上

また、このAI機能はiPhone 15 ProおよびPro Max以降のモデルに限定されていることが判明した。アップル関係者によると、AIアルゴリズムは高度な処理能力を必要とし、ハードウェアに高い負荷をかけるため、標準モデルのiPhone 15では性能が不足しているという。最新のチップを搭載した高性能モデルでのみ、快適なユーザー体験を提供できると判断したようだ。

まとめ:日本への示唆

アップルが中国でバイドゥのAI技術を利用する可能性は、日本企業にとって複数の影響をもたらす。まず、中国市場における生成AIサービス展開の難しさ、特に政府の厳格な認可制度が改めて浮き彫りになった。これは、中国進出を検討する日本のAI関連企業に対し、現地パートナーとの提携が不可欠であるという現実を突きつける。単独での市場参入は極めて困難であり、バイドゥのような中国大手企業との協業モデルが成功への鍵となるだろう。

次に、アップルのAI機能がiPhone 15 ProおよびPro Max以降の高性能モデルに限定されるという事実は、日本のスマートフォン部品サプライヤーにとって新たなビジネス機会を示唆する。AI処理能力を向上させるための高性能チップや関連部品への需要が、中国市場で高まる可能性がある。特に、日本の半導体製造装置メーカーや高機能素材メーカーは、このハードウェア要件の厳格化を追い風に、アップルやそのサプライチェーンへの供給拡大を狙える。

最後に、アップルとバイドゥの提携は、中国におけるAI技術の進化が、外資系企業との協業を通じて加速する可能性を示す。日本のAI開発企業は、中国の巨大なデータ量と市場規模を活かしたAI開発の動向を注視し、将来的には共同研究や技術提携の可能性を探るべきだ。特に、自然言語処理や画像認識といった分野で中国企業が持つ強みが、日本企業の技術と融合することで新たな価値創造に繋がるかもしれない。