米アップルが2日に発表した2024年1-3月期(第2四半期)決算は、売上高が907億5300万ドルと市場予想を上回った。中華圏での不振が響き前年同期比で減収となったが、過去最大となる1100億ドルの自社株買いも発表し、株価は時間外取引で上昇した。

iPhone不振の一方、サービス部門は過去最高

同四半期の総売上高は前年同期比4.3%減となった。主力のiPhone事業の売上高は459億6300万ドルと10.5%減少し、特に中華圏(香港、台湾を含む)では8.1%減の163億7200万ドルに落ち込んだ。ファーウェイ(ファーウェイ技術)など中国ブランドとの競争が激化しており、調査会社カウンターポイント・リサーチによると、同四半期の中国スマートフォン市場におけるアップルのシェアは3位に後退した。

一方、App Storeなどを含むサービス部門の売上高は、前年同期比14.2%増の238億6700万ドルと過去最高を記録した。この高収益部門の成長がハードウェア事業の不振を補い、全体の業績を下支えした。売上総利益率も46.6%と、市場予想を上回る高水準を維持した。

過去最大の自社株買い、AI戦略に自信か

アップルは今回の決算発表で、米国企業として過去最大規模となる1100億ドルの自社株買い枠を追加設定したと明らかにした。生成AI分野での出遅れ懸念を払拭し、強固な財務基盤と将来への自信を市場に示す狙いがあるとみられる。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「生成AIの分野で大きな好機を見いだしており、多額の投資を行っている」と述べたと、ロイター通信が伝えた。

市場の注目は、6月に開催される世界開発者会議(WWDC)で発表が見込まれる次期OSとAI機能に集まっている。ハードウェアの買い替えサイクルが長期化するなか、AIを組み込んだ革新的なソフトウェアやサービスが、今後のiPhone販売、ひいてはアップルの持続的成長の鍵を握る。

日本の関連性

アップルの中華圏におけるiPhone売上高が8.1%減の163億7200万ドルに落ち込んだことは、日本企業にとって中国市場の特殊性とリスクを再認識させる。ファーウェイなど中国ブランドの台頭は、単なる競争激化ではなく、技術力向上とナショナリズムが結びついた「自国優先」の消費行動が顕在化している証左だ。この傾向は、スマートフォン以外の日本製品、特に自動車や家電分野でも同様に起こりうる。例えば、中国製EVの品質向上と政府の後押しにより、日本車のシェアが脅かされる可能性は高まっている。

一方で、アップルのサービス部門が238億6700万ドルと過去最高を記録したことは、中国市場におけるビジネスモデル転換のヒントとなる。ハードウェア販売の伸び悩みが予測される中、サブスクリプション型サービスやコンテンツ提供など、ソフトウェア・サービス領域での収益確保が重要性を増す。日本のゲーム会社やコンテンツプロバイダーは、中国のプラットフォームとの連携強化や、現地ユーザーの嗜好に合わせたサービス開発に注力することで、新たな成長機会を掴めるだろう。

さらに、アップルが1100億ドルの自社株買いを発表し、AI戦略への自信を示したことは、日本の半導体・部品メーカーにとって短期的な恩恵をもたらす可能性がある。アップルがAI機能強化のために高性能半導体やセンサーの採用を拡大すれば、ソニーや村田製作所といったサプライヤーへの発注増が期待できる。しかし、同時に中国国内での半導体サプライチェーン構築が加速するリスクも孕んでおり、長期的な視点での技術優位性維持と、新たな供給先の開拓が日本の製造業には求められる。