中国の検索大手、バイドゥ(バイドゥ)が発表した2023年度通期決算は、売上高が前年比3%減の1291億元(約2兆7000億円)、純利益が同76%減の56億元(約1170億円)と増収減益だった。生成AI分野への積極投資が実を結びつつある一方、中核である広告事業の不振が響き、事業構造の転換を迫られている。

AI事業は急成長、収益の柱に

決算の明るい材料はAI関連事業だ。AI事業全体の売上高は400億元に達し、前年から48%の大幅な伸びを記録した。特に2023年第4四半期(10-12月期)には、AI事業が総売上高に占める割合は43%に達し、市場予想を上回る成長を見せた。

バイドゥは生成AI「文心一言ERNIE Bot)」を軸に、検索エンジンへの統合を加速。2023年10月時点で、検索結果の70%がAIによって生成されるようになるなど、ユーザー体験の向上とサービス革新を進めている。

既存事業の不振が重荷に

一方で、長年収益を支えてきた既存の検索・広告事業は苦戦が続く。2023年12月時点の「バイドゥアプリ」の月間アクティブユーザー数(MAU)は6.79億人で、前月から2900万人減少。ユーザー離れが広告収入にも直結し、同月の広告収益は前年同月比で16.5%減少し、中でも従来の広告事業は26%の大幅な落ち込みとなった。

この状況を受け、バイドゥはコスト削減を強化している。2023年度の研究開発費を8%削減したほか、2023年末には従業員を3100人削減するなど、経営の効率化を急いでいる。AIへの転換と既存事業の立て直しという、二つの課題に同時に直面している格好だ。

日本にとっての意味

バイドゥの2023年度決算が示す既存事業の不振は、日本企業にとって二つの具体的な示唆を与える。第一に、中国市場におけるデジタル広告事業の構造変化への対応である。バイドゥアプリの月間アクティブユーザー数が2900万人減少した事実は、中国消費者の情報収集行動が、従来の検索エンジンからSNSやショート動画プラットフォームへと移行している可能性を示唆する。日本企業が中国市場でブランド認知や集客を図る際、バイドゥのような検索連動型広告への依存度を再評価し、抖音(Douyin)や小紅書(Xiaohongshu)といった新たなチャネルへの投資を強化する必要がある。

第二に、生成AI活用における投資戦略の再考である。バイドゥのAI事業は48%増と急成長し、総売上高の43%を占めるまでに至ったが、これは巨額の研究開発費と人員削減を伴う構造転換の産物だ。日本企業が生成AIを事業に組み込む際、バイドゥのように自社開発に巨額を投じるのか、あるいは外部のAIサービスを効率的に活用するのか、そのバランスを見極める必要がある。特に、バイドゥが検索結果の70%をAI生成に切り替えたように、生成AIが既存のビジネスモデルを根本から変革する可能性を考慮し、自社の競争優位性をどこに置くかを戦略的に判断することが求められる。