中国の半導体設計企業である北京天聖華が、2025年12月上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット)」に上場する見通しとなった。米国の輸出規制が強化される中、中国政府が推進する半導体国産化を象徴する動きとして注目が集まっている。

新興企業のIPOで資金調達を加速

北京天聖華は、主に産業用機器向けの半導体設計を手掛ける新興企業だ。今回の新規株式公開(IPO)により調達した資金は、次世代半導体の研究開発や生産能力の増強に充当する計画である。関係者の話として新華社通信が伝えたところによると、調達額は数十億元規模に達する可能性がある。

米国の制裁により先端半導体の調達が困難になる中、中国国内では政府主導で半導体サプライチェーンの国産化が急ピッチで進められている。北京天聖華のような新興企業の上場は、国内市場からの資金調達を活発化させ、技術開発を後押しする狙いがある。

国産化への期待と課題

中国の半導体産業は、ファウンドリ最大手の中芯国際集積回路製造(SMIC)やメモリー大手のYMTC科学技術(YMTC)などが中核を担うが、製造装置や設計ツール(EDA)の多くを海外に依存しており、サプライチェーンは依然として脆弱だ。今回のIPOは、こうした課題克服に向けた中国の強い意志を示すものだ。

しかし、最先端分野における米国や台湾、韓国との技術格差は大きく、国産化への道のりは平坦ではない。特に、微細化に不可欠な極端紫外線(EUV)露光装置などの先端設備へのアクセスが絶たれていることが大きな足かせとなっている。今後、国内での技術開発がどこまで進展するかが焦点となる。

日本への影響

北京天聖華の2025年12月上海上場は、日本の半導体関連企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、中国の産業用半導体市場における競争激化である。同社がIPOで調達する数十億元規模の資金は、次世代半導体の研究開発と生産能力増強に充てられるため、これまで日本企業が強みを持っていた産業機械や自動車向け半導体分野で、中国製部品の採用が加速する可能性がある。特に、日本の産業用機器メーカーは、コスト競争力とサプライチェーンの安定性から、国産化を進める中国の顧客企業から北京天聖華のような中国製半導体への切り替えを求められるリスクがある。

第二に、半導体製造装置や材料分野における新たな商機とリスクの両面が浮上する。中国は製造装置や設計ツール(EDA)の多くを海外に依存しており、特にEUV露光装置のような先端設備へのアクセスが困難な現状は変わらない。このため、日本の半導体材料メーカーや、EUV以外の比較的レガシーな製造プロセスに関わる装置メーカーにとっては、中国の半導体国産化の動きが新たな需要を生む可能性がある。しかし、中国政府が最終的にサプライチェーン全体の国産化を目指す中で、長期的な視点では日本からの輸入依存度を低下させる動きが強まることも想定されるため、短期的な商機と中長期的なリスクを区別した戦略が不可欠となる。