中国の動画配信大手bilibili(ビリビリ)は2024年4月10日、動画の一時停止時に広告を述べたする新機能を導入すると発表した。かつての「広告なし」宣言から大きく方針を転換し、収益源の多角化を目指す。ユーザー体験への影響を最小限に抑えつつ、広告事業の成長を加速させる狙いだ。

「広告なし」宣言からの転換

bilibiliは2016年、ソーシャルメディア上で「永久にパッチ広告(動画本編の前に挿入される広告)を導入しない」と宣言し、ユーザーの支持を集めてきた。しかし、上場後は赤字経営が続き、収益構造の改善が急務となっていた。

同社は2023年通期決算で調整後純利益ベースでの黒字化を初めて達成したものの、主力のゲーム事業や有料会員サービスの伸びは鈍化傾向にある。そのため、持続的な成長には広告収入の拡大が不可欠と判断した模様だ。

クリエイター任意の新広告機能

今回導入される新機能は、クリエイター(通によると:UP主)が自身の「クリエイター奨励プログラム」を通じて、任意で有効化できる仕組みだ。視聴者が動画を一時停止した際に、画面下部にバナー広告などが述べたされる。クリエイターは、この機能をいつでも無効にすることが可能で、コンテンツ制作の自由度を尊重する姿勢を示している。

広告事業の成長に活路

bilibiliの広告事業は近年、急速に成長している。2023年の広告収入は前年比23%増100.6億元(約2100億円)に達した。同社の陳睿(チェン・ルイ)会長兼CEOは決算説明会で、「bilibiliのユーザーは平均年齢が26〜27歳と若く、消費意欲と購入決定力が高まっている」と指摘。広告主にとって魅力的なターゲット層にリーチできる機会を拡大していく方針を強調した。

結論:日本への示唆

bilibiliが動画一時停止時の広告を導入することは、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、中国市場におけるデジタル広告戦略の見直しが必要となる。bilibiliは2023年に広告収入が前年比23%増の100.6億元に達しており、特に平均年齢26〜27歳という若年層の消費意欲の高さは、日本の化粧品やアパレル、ゲームといった消費財メーカーにとって魅力的なターゲット層だ。これまで同社の「広告なし」方針を理由にマーケティングを躊躇していた企業は、新たな広告機会として捉え、若年層向けブランドの認知度向上やECサイトへの誘導を強化できる。

第二に、日本のコンテンツプロバイダーやクリエイターは、bilibiliの「クリエイター奨励プログラム」を通じた収益化の可能性を再評価すべきだ。同社がクリエイターの任意で広告導入を可能としたことは、コンテンツ制作の自由度を尊重しつつ、収益分配によるインセンティブを提供する姿勢を示している。日本の人気アニメや漫画、ゲーム実況などのコンテンツはbilibiliで高い人気を誇っており、広告収益の分配を受けることで、中国市場でのコンテンツ制作・配信活動をさらに活発化させる道が開ける。例えば、日本のゲーム会社は、新作ゲームのプロモーション動画に広告を組み込むことで、直接的な収益を得ながらユーザーエンゲージメントを高める戦略を検討できるだろう。