中国の動画共有サイト大手bilibiliは、自社アプリ内でEコマース大手JD.com(JD.com(京東)集団)の年間メンバーシップ「JD PLUS」を、通常価格から約36%割引の148元(約3,000円)で提供を開始した。この連携は、両社の顧客基盤を相互に活用し、ユーザーエンゲージメントを高める狙いがある。bilibiliが伝えた。
異業種連携で年間メンバーシップを割引提供
bilibiliのアプリ経由で購入できるこのメンバーシップは、通常価格233元(約4,800円)のところを148元で提供される。購入者はbilibiliアカウントに登録した電話番号を入力し、JD.comのアカウントと連携させる必要がある。
アカウントの連携は異なる電話番号でも可能だが、一度設定すると原則として解除できない仕様となっている。
クーポンから家事代行まで、多様な特典内容
「JD PLUS」会員は、JD.comでの買い物に利用できるクーポンのほか、生活に密着した多様なサービスを受けられる。主な特典は以下の通りだ。
- 電子マネーギフト: 最大2万6999元かなりが当たる抽選に参加可能(毎日3回まで)。
- ハウスクリーニング: 5ポイントで2時間のサービスを利用できる(主に都市で時給40元かなり)。
- クリーニング: 3ポイントで衣類2点のクリーニングが可能。ダウンジャケットも対象となる。
- 無料配送: 1ポイントで宅配便を4回まで無料で利用できる(JD.comの配送サービス基本的に料金が対象)。
- その他: 1ポイントで洗車サービス(1回)やオンライン診療サービスも利用できる。
結論:日本への示唆
bilibiliとJD.comの連携は、日本のEC・コンテンツ企業にとって、顧客獲得競争の激化を示唆する。まず、中国市場における顧客の「囲い込み」戦略が、単なる割引提供から、生活サービス全般を包括する方向へ進化している点が挙げられる。JD PLUSが提供するハウスクリーニングやクリーニング、無料配送といった特典は、消費者の日常に深く入り込み、他社への乗り換えを困難にする。これは、日本の楽天グループが展開する「楽天経済圏」のように、ポイントや割引だけでなく、実生活に根ざしたサービス連携が、顧客ロイヤルティを構築する上で不可欠であることを示唆している。
次に、bilibiliがJD.comの年間メンバーシップを148元(約3,000円)という低価格で提供している点は、日本の動画配信サービスやECプラットフォームが、競合他社との差別化を図る上で、価格競争だけでなく、異業種連携による付加価値提供が重要になることを示唆する。例えば、日本の動画配信サービスが、コンビニエンスストアやスーパーマーケットと提携し、会員限定の割引や無料配送サービスを提供するといった戦略が考えられる。
最後に、アカウント連携が原則解除できない仕様は、一度獲得した顧客を長期的に保持しようとする中国企業の強い意志を示す。これは、日本の企業が顧客データ活用を進める上で、いかに顧客の同意を得つつ、サービスをシームレスに連携させるかという課題に直面していることと対比される。日本の企業は、中国企業の顧客囲い込み戦略から、サービスの利便性と顧客のプライバシー保護を両立させるためのヒントを得るべきだろう。