中国のテクノロジー大手ByteDance(ByteDance)が、自社開発のLLM(大規模言語モデル)「豆包」関連事業の従業員向け株式(以下、豆包株)について、初の買い取りプログラムを開始したことが分かった。買い取り価格は半年前の評価額から30%上昇しており、急成長するAI分野での人材確保とつなぎ止めを強化する狙いがあるとみられる。
内部通知で買い取り価格を提示
ByteDanceは最近の社内通知で、新たな株式買い取りプログラムの開始を伝えた。通常の従業員向け株式については、在職者向けの買い取り価格を1株あたり229.5ドル、退職者向けを201.96ドルに設定した。
今回初めて買い取り対象となった豆包株の価格は13.08ドルとされた。これは、制度が開始された半年前の評価額から30%上昇した水準だ。このプログラムは、LLM事業の成長による利益を従業員に還元する長期的なインセンティブ制度の一環である。
年2回の定例買い取りを継続
ByteDanceは2021年から、非上場企業でありながら従業員に流動性を提供するため、年2回の株式買い取りプログラムを定例で実施している。従業員向け株式の買い取り価格は、2023年10月に200ドルを突破して以降も上昇を続けている。
豆包株のインセンティブ計画は2023年第4四半期に立ち上げられ、対象となる従業員に株式が付与されていた。今回の買い取り実施は、同社がAI事業を今後の成長の柱と位置づけ、貢献する人材への報酬を手厚くする姿勢を明確に示したものだ。
日本企業への示唆
ByteDanceがLLM「豆包」事業の従業員株を半年前の評価額から30%上昇した価格で買い取る動きは、日本のAI関連企業、特にスタートアップにとって人材獲得競争の激化を意味する。中国の巨大テック企業が、AI分野の優秀な人材に対し、従来の年俸制に加え、ストックオプションや従業員株買い取りといった強力なインセンティブを提示している現状は、日本企業が提示できる報酬体系との格差を広げる可能性がある。
具体的には、日本のAIエンジニアや研究者が、より高額な報酬と成長機会を求めてByteDanceのような中国企業へ流出するリスクが高まる。豆包株の買い取り価格が13.08ドルとされ、半年前から30%上昇している事実は、AI事業の成長とそれによる従業員への還元が明確に示されており、日本のベンチャー企業が同様の魅力を提示することは容易ではない。
また、ByteDanceが非上場ながら年2回の株式買い取りを定例化している点は、日本の未上場AI企業が人材を繋ぎ止める上で参考にすべき流動性提供のモデルとなる。上場を待たずに従業員が株式を現金化できる仕組みは、特にスタートアップで働く人材にとって大きな魅力となる。日本企業は、中国のテック企業が提示する報酬水準とインセンティブ制度を詳細に分析し、自社の競争力を維持するための新たな人材戦略を構築する必要がある。さもなくば、日本のAI技術開発は人材不足により停滞する恐れがある。