中国の工業情報化部など4省庁は、工業製品のカーボンフットプリント(CO2排出量)算定に関する新たな規則を策定した。石油化学や自動車など13の重点産業を対象に、これまでに111件の推奨規則が公表され、脱炭素に向けた製品の環境性能評価を標準化する動きが加速している。
111件の推奨規則で標準化を推進
工業情報化部、生態環境省、国家発展改革委員会、国家市場監督管理総局の4省庁は、工業製品のカーボンフットプリント算定規則を共同で制定した。対象は、石油化学、化学工業、鉄鋼、非鉄金属、建材、繊維、軽工業、機械、包装、自動車、造船、電子、通信の13重点産業にわたる。
中国電子技術標準化研究院認証センターの段淼主任によると、これまでに3回に分けて合計111件の算定規則が推奨された。これにより、これまで空白だった重点産業・重要分野における製品のカーボンフットプリント算定基準が整備され、関連企業が排出量を算定し、データベースを構築するための基盤が提供されたと、中国政府系のメディアは伝えている。
国家標準・業界標準への格上げも
推奨された111件の規則のうち、24件が国家標準として、15件が業界標準として立案された。すでに4件は業界標準としての策定を完了している。これらの先行研究は、国家標準および業界標準の正式な策定プロセスを迅速化し、基準の品質を向上させる上で重要な役割を果たしている。
この動きは、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷を定量的に評価する枠組みを、国レベルで体系化しようとする中国政府の強い意志を示すものだ。標準化を通じて、国内産業のグリーン化を促進し、国際的な環境規制への対応力を高める狙いがある。
日本への影響
中国の13重点産業におけるカーボンフットプリント算定規則の策定は、日本企業にとって直接的な事業リスクと同時に新たな機会を生み出す。特に、自動車や電子、石油化学といった日本企業がサプライチェーンに深く組み込まれている分野では、中国側からの情報開示と排出量削減要求が強化される。例えば、中国で生産・販売する日本メーカーは、これまで個別に対応していたCO2排出量算定を、111件に及ぶ推奨規則に沿って実施する必要が生じる。これにより、算定プロセスが標準化される一方、新たなデータ収集・管理体制の構築コストが発生する可能性がある。
しかし、これは日本企業が中国市場で競争優位を確立する機会でもある。中国政府が製品のライフサイクル全体での環境負荷評価を重視する姿勢は、日本の環境技術や省エネノウハウの需要を高める。例えば、中国の自動車メーカーが自社製品のCO2排出量を算定する際、日本の部品メーカーが提供する低炭素素材や高効率部品の採用を積極的に検討する可能性が高まる。また、24件が国家標準、15件が業界標準に格上げされる見込みの算定規則は、将来的に国際標準化機構(ISO)の議論にも影響を与える可能性がある。日本企業は、この中国の動きを先読みし、自社のサプライチェーン全体での排出量可視化と削減を加速させることで、国際的な競争力を高めることができる。これは、単なる規制対応ではなく、中国市場における新たな事業戦略の再構築を迫るものである。