米ラスベガスで毎年1月に開催される世界最大級の家電・IT見本市「CES 2024」で、中国のAIグラスメーカーが存在感を高めた。関連ブースの7割近くを中国企業が占め、海外市場開拓の足がかりにしようとする動きが鮮明になった。

CES 2024で存在感増す中国AIグラス

CES 2024では「AIグラス」関連の展示ブースが23カ所設けられた。そのうち、ラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)のセントラルホールに13カ所、ベネチアンとウィンに計10カ所が出展した。

出展企業のうち中国ブランドは16社に上り、Alibaba(Alibaba)やARグラス大手のXreal、Rokid、骨伝導技術の韶音(Shokz)、ゲーミングPCの雷神科学技術(Thunderobot)などが参加した。一方、米国企業は5社にとどまり、その他シンガポール、フランス、イタリアの企業が出展した。

海外展開を加速させる戦略拠点

中国のAIグラス関連企業にとって、CESは新製品を発表し、世界的な注目を集めるための重要なプラットフォームとなっている。多くの企業がCESのタイミングで新製品や新技術を披露した。

各社はCESへの出展を通じて、海外の顧客との接点を確保し、ブランドの認知度向上を図っている。特に、欧米の有力な販売代理店や大手顧客と直接商談し、新製品の導入計画などを協定する絶好の機会として活用されている。

日本にとっての意味

CES 2024で中国企業がAIグラス関連ブースの約7割、具体的には23カ所中16社を占めた事実は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、ウェアラブルデバイス市場における競争激化である。RokidやShokzといった中国企業がCESを新製品発表の戦略拠点と位置付け、海外展開を加速させている現状は、日本企業が同分野でグローバルなシェアを確保する上で、より革新的な技術開発と差別化戦略が不可欠であることを示唆する。特に、Alibabaのような巨大企業がAIグラス市場に参入していることは、資金力と技術開発力に劣る日本の中小メーカーにとって、市場参入障壁が高まることを意味する。

第二に、サプライチェーンの再構築の必要性である。中国企業がAIグラス市場で主導権を握ることで、関連部品や技術の調達において、中国製がデファクトスタンダードとなる可能性が高まる。これは、日本企業がAIグラス製品を開発する際に、中国製部品への依存度を高めるか、あるいは国内や他国での代替サプライヤー育成に投資する必要が生じることを意味する。例えば、ThunderobotのようなゲーミングPCメーカーがAIグラス分野に進出していることから、高性能なAIチップやディスプレイ技術の供給源が中国に集中するリスクも考慮すべきだ。日本企業は、この技術的・市場的シフトに対応するため、自社の強みを見極め、ニッチ市場での優位性確立や、新たな国際パートナーシップの模索が急務となる。