中国の首都・北京市で、特定の条件下でシステムが運転を担う「レベル3」の自動運転が高速道路で解禁された。事故時の責任は原則として自動車メーカーが負うことになり、中国における自動運転技術の実用化が新たな段階に入った。
レベル3自動運転、事故責任はメーカーに
レベル3は、高速道路など特定の条件下でシステムが運転操作の主体となり、ドライバーは常時前方を監視する必要がなくなる自動運転技術だ。ただし、システムから要請があれば、ドライバーは直ちに運転を引き継ぐ必要がある。
今回の解禁で注目されるのは、事故時の責任の所在だ。中国メディアの報道によると、レベル3の作動中に起きた交通事故については、原則として自動車メーカー側が責任を負うと定められた。これにより、消費者の懸念が緩和され、普及が加速する可能性がある。
BAICなどが対応、3重の安全対策
この動きを受け、北京汽車集団(BAICグループ)傘下のBAIC BluePark New Energy Technology(北汽集団(BAIC)新エネルギー)などが、レベル3対応車両の公道走行テストを開始した。
同社の車両は、高性能なLiDAR(ライダー)を3基、高精度センサーを34個搭載し、車両の周囲360度を死角なく検知するセンシングネットワークを構築。また、同社は「テスト検証」「プロセス監視」「運行監視」からなる3重の安全保証システムを確立し、安全性を担保するとしている。
日本への影響
北京市でのレベル3自動運転解禁は、日本企業にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、事故時の責任が原則として自動車メーカー側にあると明確化された点は、中国市場への参入を検討する日本メーカーに新たなリスク評価を迫る。例えば、トヨタやホンダといった日本の大手自動車メーカーが中国でレベル3車両を投入する際、自社に帰属する事故責任範囲の明確化と、それに対応する保険や補償体制の構築が不可欠となる。これは、従来の製品保証とは異なる、より広範な法的・経済的リスクを負うことを意味する。
次に、BAIC BluePark New Energy TechnologyがLiDARを3基、高精度センサーを34個搭載し、3重の安全保証システムを構築している事実は、中国における自動運転技術開発の速度と深度が、日本企業が想定する以上に進んでいる可能性を示唆する。日本の部品メーカーは、中国市場での競争力を維持するため、これら中国メーカーが求める高性能センサーやLiDARの供給体制を強化するか、あるいは中国企業との技術提携を模索する機会が生まれる。特に、中国市場特有の安全基準や責任分界点に対応できる製品開発が求められるだろう。
最後に、この動きは、日本の自動運転技術開発が、中国の法整備や実用化のスピードに比べて遅れている現状を浮き彫りにする。日本政府や関連企業は、中国の事例を参考に、事故責任の明確化を含む法整備を加速させ、国内でのレベル3以上の自動運転技術の実用化を促進する必要がある。さもなくば、中国市場における技術的優位性を失い、将来的な国際競争において後れを取るリスクがある。