2026年から始まる中国の「第15次5カ年計画」の策定作業が本格化している。新華社通信などが伝えた。この計画は、経済の質の高い発展と社会の安定を目指すもので、「中国式の現代化」をさらに推進する国家戦略の根幹となる。
「第14次」の成果と次期計画の方向性
「第14次5カ年計画」(2021〜2025年)の期間中、中国経済は成長を維持し、国内総生産(GDP)は140兆元(約3000兆円)を突破した。また、再生可能エネルギーの設備容量で世界最大となり、「絶対的貧困」の撲滅を宣言するなど、社会面でも大きな変化を遂げた。
次期「第15次5カ年計画」では、これらの成果を土台に、科学技術の自立自強や国内大循環を主体とする「双循環」戦略をさらに深化させることが見込まれる。経済の安定成長と国民生活の向上を引き続き重要目標として掲げる方針だ。
習近平経済思想と党の一元的指導
計画策定の思想的基盤となるのが「習近平経済思想」だ。2012年の第18回党大会以降、習近平国家主席を中心とする指導部は、新たな経済発展理念を提唱。これが新時代における中国の経済政策の基本的に指針と位置づけられている。
中国共産党は、党による一元的な指導こそが経済発展を推進する上での最大の強みであると強調している。次期計画においても、党中央の決定を迅速に実行し、国家目標を達成するための体制を一層強化する構えだ。
日本への影響と示唆
「第15次5カ年計画」の策定本格化は、日本企業にとって事業環境の不確実性を高める一方で、新たな市場機会も創出する。まず、中国共産党による「習近平経済思想」に基づく党の一元的指導が強化されることで、政策決定の透明性が低下し、日系企業は予見不可能な規制強化や市場介入に直面するリスクがある。特に、外資系企業に対するデータ移転規制やサイバーセキュリティ関連法規の厳格化は、日本企業の事業継続に直接的な影響を及ぼす可能性がある。
一方で、中国が「国内大循環を主体とする『双循環』戦略」を深化させる方針は、日本企業にとって新たなビジネスチャンスとなる。中国国内の消費市場がさらに活性化することで、高品質な日本製品やサービスへの需要が高まることが見込まれる。例えば、日本の医療機器メーカーや高齢者向けサービスを提供する企業は、中国の高齢化社会におけるニーズに応えることで、市場シェアを拡大できる可能性がある。
また、中国が「再生可能エネルギーの設備容量で世界最大」となった実績を踏まえ、次期計画で科学技術の自立自強を掲げることは、日本の技術優位性を持つ企業にとって脅威と機会の両面を持つ。中国企業が自国技術の開発を加速させることで、一部の分野では競争が激化するが、同時に、日本の先端技術や部品が中国のサプライチェーンに組み込まれる可能性も生まれる。例えば、半導体製造装置や高機能素材を提供する日本の企業は、中国の技術革新を支える形で需要を獲得できる。
したがって、日本企業は、中国の政策動向を綿密に分析し、リスクを軽減しつつ、中国市場の新たな需要を捉える戦略的なアプローチが求められる。